藍色の誘拐犯【神威】

___25話___ ページ25

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お粥を食べさせてもらい、神威さんの提案でこれからは一緒に眠ることになった。

よく見れば私、今神威さんのベッドで寝ていたみたいで 思い切り場所を取ってしまってる。



神威｢そんな端っこ寄らないで、こっちおいで｣



慌ててベッドの端へ寄ってると、笑われながら傍に引き寄せられた。



神威｢あったかいね｣



それにコクコクと頷いて、身を任してみる。

すると神威さんが急に上の服を脱ぎ始めて、止める間もなく上半身があらわになり、目を急いで瞑った。



｢き、着替え ですか？｣

神威｢ううん。Aも脱いで｣

｢えっ｣



再び隣へ寝転んだ神威さんが
器用に前ボタンを外して私の服を脱がしていった。

まだ体が怠い私はされるがまま。



神威｢こっちの方があったかいから。それにきっと落ち着くよ｣



お互い何も身につけていない上半身を、くっつけて抱き締められた。

うわぁ…うわわわ…何これ、何これ。



｢は、恥ずかしくて、何も分かりません｣



男の人の体って、こんなにしっかりしてるんだ。
男の人って、こんなに力が強くて温かいんだ。
神威さんって、こんなにいい匂…

途中で逸れてきたので、思考をシャットダウンした。



神威｢…A、死なないで｣



お願い。と悲しい声が 耳元で震える。



｢…私が死んでも世界は変わらないし、神威さんは笑えるんでしょう｣

神威｢世界が変わらなくても、俺は変わるよ。いつか笑えたとしても一生苦しいまま、忘れられない｣



こんな事言ってたって、死んで10年も経てば私の存在は頭の隅に追いやられて、いつか忘れられるんだ。

分かってるのに。そんな顔されたら、またそんな顔させてしまうなら、私は思い留まってしまいそうなの。



神威｢死んだらもう二度と会えないんだ。どんなに願っても、俺の手は届かない｣



当たり前のことを言われてるだけなのに、何故かその言葉にはすごく重みがあった。



｢私…私、あの時一瞬思ったんです｢助けて｣って。神威さん…っ助けて下さい。私の事、助けて…｣

神威｢うん、分かった。俺が絶対に助ける。絶対救うから、Aと一緒に居させて｣



飛び降りる時も、刃を腕へ振り下ろした時も、死の直前で最後に感じたのは 悲しみでも恐怖でもない。

とてつもない孤独だった。

ほんとはずっと誰かに言いたかったのに、｢助けて｣のたった一言が言えなかった。
それをやっと今日 私は、声に出来たんだ。






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