藍色の誘拐犯【神威】

___16話___ ページ16

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神威｢それじゃ 仕事いってくるね｣



昨日の所為で腫れた目を、俯いて隠しながら、神威さんの服を掴んで引き留める。



｢今日の帰りは遅いですか｣

神威｢なるべく早く帰るけど…どうして？｣



寂しい？と首を傾げた神威さんに頷くと、驚いたように目を開き 微笑まれた。

誘拐犯にそばに居て欲しいなんて、私も自分がおかしいと思う。



神威｢俺のこと、ちょっと好きになった？｣

｢…そうかもしれません｣

神威｢そっか。じゃあ、はい｣



私の方へ顔を向けたまま 目を瞑る神威さん。

綺麗な顔だなぁ…って、そうじゃなくて、これは一体どういう意味なのか。前髪チェック？ 違うか。



神威｢いってらっしゃいのキス｣

｢へｯ ?!｣



しびれを切らして呟かれた言葉に、ビックリして思い切り声が出た。

私のリアクションに笑いを堪えている神威さん。笑い事じゃないよほんと。




神威｢早く。遅刻しちゃうから｣



どうしよう。するか殺られるか だよね。

考えた挙句、前にされたのを真似して唇の端に口付けてみる。



神威｢ほっぺか…｣



私的には唇に当たったしオーケーだと思ったんだけど、不服だったらしい。

あ、殺されるかも…と目を瞑ろうとすれば



神威｢出迎えの時はちゃんと口にしてね｣



の一言だけを残して部屋を出て行って、何故か嫌な気はしなかった。






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