|(てつ、とし) ページ30
「嫌ですか?
じゃあもうちょっと寝ちゃいましょうねー。」
甘い声に負け揺する手を止めようとした時、いつのまに後ろに立っていたとしみつから声がかかる。
としみつ
「おい!ダメだ、起こせ。」
てつや
「えーーー、だってやーって言われちゃったんだもん。」
としみつ
「だったら俺が起こす。いいのか?」
てつや
「……それは嫌…やるよーーー!!」
と言うともう一度Aに向き直る。
そして、先程より近付いて
「お嬢様、そろそろ起きてください。」
んーー、んーー…とまた甘ったるい声を
出して拒んでくる。
なーんでそんな可愛い声出すのー!!
寝かせてあげたい気持ちを抑えて、
ゆっくり彼女に近づき耳元で囁く。
「ほら、起きて…襲っちゃいますよ?」
と言うと横になりながらパチッと目が開く。しかし、まだ頭が稼働してないのかぼーっとしている。
「お嬢様…?」
『んーー、
さっき何か…言われた気がす…る。』
途切れ途切れの言葉にクスッと笑いながら
ゆっくりソファから体を起こすAを見つめる。
「襲っちゃいますよ、って言ったんですよ。」
『え…? 襲う……おそ…。』
ぼーっとしていた頭が起きてきたのか言葉を理解するとバッと両手で顔を覆い恥ずかしがる。
『………バカっ!!』
Aから中々聞くことのない言葉を聞いてちょっとキュンとしてしまった。ついでに心の声も漏れていた。
「いいね……それ。」
!?とAが驚いた表情をしていると後ろにいたとしみつがニヤニヤした表情で
としみつ
「ばーーか。」
てつや
「お前のは違うやん!!」
としみ
「何だよ!イイって言ってたじゃねーか。
……ばかっ!」
ちげーー!!と笑いながらつっこんでいる。Aはもうやめて…といたたまれない気持ちになっていた。
そして起き上がった時コップ1杯の水を渡され、近くに何故か黒い犬のぬいぐるみが置かれていた。
てつや
「お水…」
『??
あ、ありがとうございます…。』
てつやくんから目覚めの1杯を頂く。
少し冷えてておいしい。
「覚めた?」
『はい!スッキリしました。』
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作成日時:2021年2月22日 8時