第一話 ヘタレウララーは殺し屋さん ページ1
人気のないビルの中に、銃声が鳴り響く。
ここは街外れの廃ビル。肝試し程度に少年等が来る程度の寂れたビル。
しかし、今日に限って誰も来なかったので、こういう事態になってしまったのだろう。
銃を撃ったのは、１人の青年と、若い娘だった。
２人は、撃った相手のそばへ駆け寄ると、死んでいる事を確認してから、相手がもっていたアタッシュケースを盗り、中を開けた。
なかには、大量の札束が入っており、それを見て青年は、ほっとした顔つきになりこう言った。
「任務成功だからな」
「ウララー、ねえウララー！聞いてる？」
高校生のような、ほっそりとした女性が声をかける。
２人は商店街を歩きつつ、話をしている。
「わかってるんだからな。アイツがでたんだろ？」
ウララーと呼ばれた青年は、いかにもめんどくさそうに応答した。
「うん、あの有名な殺し屋！！」
「でも、なんでお前がそんなにわくわくしてんだ？」
「え？わかるでしょ？」
女性は目をキラキラさせて、青年の方をじっと見る。
「……僕は超能力者じゃないんだからな」
「もう、しょうがないわね。あのね――」
女性が言いかけた瞬間、青年のケータイ電話が鳴る。
「ちょっと待ってて欲しいんだからな！！」
青年はそう言うと、人気がない路地裏へ走って行った。
が、途中で転んでしまった。
「ちょ、大丈夫？」
女性は大急ぎで後を追ったが、青年は気がつかず、立ち上がり、駈け出してしまったので見失ってしまった。
「はい、こちら朝空です。……というかなんで電話番号知ってるんですか？」
青年は、息を切らしているのだが、そんなことはないかというように電話のむこうにいる相手に話し始めた。
「ケー番を雨空さんから聞きました。それより朝空さん」
電話の相手はこの、ウララーという青年よりすこし年上のようだ。
「仕事がはいったんですが……」
「ちょっと待ってろ、今彼女とデート中だからな」
「で、で、で、デート！？リア充爆発しろ！！！！」
「じゃな」
青年は、ケータイを切ると、彼女のもとへ向かった。
「あー雨空さん、聞いて下さいよ！！」
男が、中年の男性と話をしている。
「なんですか？さっきからぶつぶつと……」
「朝空さん、リア充なんですよー！何とかして下さいよー」
「あ、来ましたよ？」
ヒーローが来るようなタイミングでウララーがやってきた。
ニコニコ笑いつつ、ウララーはこう言った。
「さあ、殺しに行こうか」
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作者名：のあ猫 | 作成日時：2012年11月25日 11時
