24話 赤と桃と部活 ページ25
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桃井は、突然何かを思い出したように私の方を見た。「そう言えば、Aちゃんさ」
「何?」
「部活って、どうするの?」
「……ぶかつ?」
桃井の言葉に、いまいちピンと来なかった自分がいた。『ぶかつ』とは一体。
「えー!部活知らないの?」
「あ、えっと……ごめんね」
桃井の迫力に、思わず口から謝罪の言葉が出てきた。小学三年生の頃から、まともに外出すらしていなかったのだ。部活なんてものとは、全く関わらずに過ごしてきた。
「そう言えば、うちの学校は特別事情がない限り全員強制入部だったな」
私の隣で、赤司がそう呟いた。
「その、ぶかつ……って、何?」
「……うーん、そう言われるとなかなか説明しづらいな」
桃井は腕を組んで考える姿勢をとる。
「単に部活と言っても、色々な部があるしね」
桃井の横から赤司が言う。私は頭の中で部活がどういうものかを想像しながら、再び尋ねた。
「ぶかつって、どんなことするの?」
「その部によって違うんだ。うちは他校より部活の数が多いから、選びたい放題だよ」
桃井は人差し指を立てた。
「運動部は野球、サッカー、ソフト、陸上、バスケ、バレー、テニス、バドミントン、卓球、ハンドボール、ダンス、水泳、弓道。
文化部は吹奏楽、美術、文芸、放送、パソコン、囲碁・将棋……くらいかな?」
「結構あるんだね」
私はそれぞれの部活を思い浮かべた。少し間を置いて、桃井が慌てたように言う。
「……って、急に全部言われてもわからないよね。ごめん」
「ううん、もう全部覚えたから大丈夫」
「へ……そうなの?凄いね、Aちゃん」
桃井に感心され、少し得意げな気分になる。
「……でも、何をやるのかいまいちわからないところがあるんだ」
「あ、それだったら、今日の放課後一緒に部活見学する?私が案内してあげるよ」
「え……いいの?」
「勿論だよ!」
……と言うことで、と言いながら桃井は赤司の方を振り返った。
「私午後の部活行けないかもしれないから、静香ちゃんだけになると思うけど大丈夫?」
「ああ、心配ない。俺から伝えておく」
「ありがとう、赤司君」
「……?」
二人の会話の中で疑問がいくつか頭を横切ったが、口には出さなかった。
「……その、二人は一緒の部活なの?」
「うん、男子バスケ部だよ!まあ、私はマネージャーだけどね」
桃井は誇らしげに胸を張った。
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翡翠(プロフ) - モトコさん» ありがとうございます。がんばって更新します! (2018年11月3日 23時) (レス) id: c98d4fab9f (このIDを非表示/違反報告)
モトコ(プロフ) - 続きが気になります。更新頑張ってください! (2018年11月3日 23時) (レス) id: e294c9830f (このIDを非表示/違反報告)
翡翠(プロフ) - ゆっくりノワールクローンNo.1さん» ありがとうございます!これからももっと面白くしていきたいと思います!頑張りますね! (2018年8月14日 23時) (レス) id: c98d4fab9f (このIDを非表示/違反報告)
ゆっくりノワールクローンNo.1(プロフ) - ものっそい好みの作品です!!夢主ちゃん世間知らずで可愛いし間接キス知らないとかもう悶えちゃいます!!これからも更新頑張ってください!! (2018年8月14日 20時) (レス) id: a2e5a81f28 (このIDを非表示/違反報告)
翡翠(プロフ) - 彩香さん» ありがとうございます(*≧∀≦*)!!がんばりますね! (2018年8月1日 9時) (レス) id: c98d4fab9f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:翡翠 | 作成日時:2018年7月12日 19時