22話 ピンクの彼女と私 ページ23
いきなり初対面の人物からまじまじと見つめられ、上手く言葉が出てこなかった。一気に体温が上がるのがわかる。
「えっと、その……」
「ん?」
小首を傾げた仕草が何とも似合う彼女は、慌てふためく私を前にしても何の動揺もしていない様子だった。むしろ少しずつ迫って来ている気がする。
すると、彼女は何の前触れもなしにこちらに両手をスッと伸ばした。
「え、えっ……?」
何をされるのかわからなくて、咄嗟に目を瞑った。しかし私が目を瞑ったと同時に、ほっぺたを軽くつままれる感覚がした。
驚いて、思わず目を開ける。
「やっぱぷにぷにだー!可愛い!」
そのまま暫くほっぺたを触り続ける彼女を、私はただ黙って見ることしか出来なかった。無神経なのかマイペースなのか、一向に手を離す気配がない。
「この真っ赤になったぷにぷにほっぺ、昨日から見てて一回触りたかったの!」
「……ふえ……」
一瞬からかわれているのかとも思ったが、どうやら違うようだ。それにしても、今更ながら距離感が近い。そしてずっと気にしないように意識していたが、周りからの視線が痛い。段々と恥ずかしさが込み上げてくる。
「あ、あの……。い、いひゃいれふ……!」
「……あ、ごめんね。やり過ぎた?」
懸命に絞り出した声はどうやら聞こえたようで、彼女はすぐに手を離してくれた。私は半分涙が溜まった目で彼女を見ながら、ゆっくりと両手で頬をさする。
結構、いや思った以上に、痛かった。
目の前で微笑んでいる彼女が、何とも名残惜しそうな目でこちらを見つめてくるので、思わず両手で頬を包み首を横に振った。
彼女にはそれで何となく伝わったようで、苦笑しながら両手を挙げた。
「ごめんね。もうやらないから」
恐らく嘘はついていないだろうが、念には念を入れる為警戒心は解かなかった。
「……あれ、そういえば私の名前って言った?」
話を切り替えた彼女に向かって、静かに首を横に振る。
「私は、桃井さつき。さつきでいいよ。宜しくね」
桃井さつきと名乗った少女は、眩しい程の笑みを浮かべて、私に手を差し伸べた。
「……さ、さつきちゃん……?」
「うん!」
床に座り込んでいる私は、自然と上目遣いな格好で桃井を見た。その直後、近くで誰かが桃井を呼ぶ声が聞こえた。
……私の中の桃井の第一印象。
ほっぺたを遠慮なしにつまんできた子。
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翡翠(プロフ) - モトコさん» ありがとうございます。がんばって更新します! (2018年11月3日 23時) (レス) id: c98d4fab9f (このIDを非表示/違反報告)
モトコ(プロフ) - 続きが気になります。更新頑張ってください! (2018年11月3日 23時) (レス) id: e294c9830f (このIDを非表示/違反報告)
翡翠(プロフ) - ゆっくりノワールクローンNo.1さん» ありがとうございます!これからももっと面白くしていきたいと思います!頑張りますね! (2018年8月14日 23時) (レス) id: c98d4fab9f (このIDを非表示/違反報告)
ゆっくりノワールクローンNo.1(プロフ) - ものっそい好みの作品です!!夢主ちゃん世間知らずで可愛いし間接キス知らないとかもう悶えちゃいます!!これからも更新頑張ってください!! (2018年8月14日 20時) (レス) id: a2e5a81f28 (このIDを非表示/違反報告)
翡翠(プロフ) - 彩香さん» ありがとうございます(*≧∀≦*)!!がんばりますね! (2018年8月1日 9時) (レス) id: c98d4fab9f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:翡翠 | 作成日時:2018年7月12日 19時