clever and smart 2

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「川上さん。」

翌朝誰かに名前を呼ばれて目を覚ました。

「Aさん…」
「一度起きて着替えたほうがいいです。まだ熱下がってないみたいですから。」
「なんでおんの…風邪うつるやん。」

彼女は起き上がる俺の体を支えて着替えを渡してきた。

「辛そうな川上さんを放っておけるわけないじゃないですか。」

テキパキと母親のように次から次へと濡れたタオルやらスポドリやらを渡しながら言う。

「昨日は自分でも珍しいと思うくらい頭に血が上って部屋を飛び出ちゃいましたけど、よく考えたら川上さんが朝まで梨沙子さんを置いておくわけないし、彼女のくせに看病放棄するのは情けないし…それに…そばに居たくて…。」

だから朝イチで様子見にきたんです、と言い俺の額に手を当てた。

あの感じで頭に血が上ったって言う？血の気全く感じなかったけど。

そう思うとくすくす笑いがこぼれた。

「もう、心配してるのに。」
「いや、わかってるけど…ごめん、ありがとう」

そばに居てくれて俺も素直に嬉しいよ。

彼女の手を握って少し引き寄せた。

「…昨日はごめん。」
「こちらこそすみませんでした、態度悪かったですよね…。」
「相当キレとったな。怖かった。」

申し訳なさそうな顔をして口を開いた。

「あたしのいるべき場所に彼女が居たことに腹が立ちました。何勝手に人の彼氏の家に上がり込んでんだって。川上さんも何部屋に入れてんの？って思いました。」
「すいませんでした。」
「いえ、いいんです。ただの嫉妬です。川上さんのことになると自分も知らない一面がでるみたいです。」

困ったように笑う彼女が尊い。

熱がなければ今すぐに抱きしめたいところだけど、今は頭をポンとするしかできない。

「ごめんね。来てくれてありがとう。」

そう言うとふわりと笑ったので安心する。

怒ると氷の女王になるという新たな面を見れて少し得したな。でも怒らせるとかなりヤバいというのもよく分かった。

「川上さん。」

名前を呼ぶと徐に俺の肩に手を乗せて頰にキスをした。

びっくりして彼女を見つめると、照れ隠しをするように笑う。

「…はは、我慢できません。キスしてもいいですか？」

君は病人を殺す気ですか。あんまりどきどきさせないで。

「…風邪うつるからダメ。Aさん体弱いもん。」

理性を保って真っ当な返答をするも彼女は粘った。

「軽くならいい？」

そう言って軽く触れるくらいのキスをする。

…早く風邪治さないと我慢できなくなるわ。

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