clever and smart 2

番外編 sister ページ28

ナイスガイside

うちの妹は、綺麗な見た目とは裏腹に男前なところがある。

椅子に座ると足を閉じない。

「こら、女の子なんだから足閉じなさい。」
「へい。」

床に座ったら胡座をかく。

「胡座は骨盤に悪いぞ！」
「え〜、そうなんですか？」

言葉遣いが悪い。

「あのクソ講師、レポートの締め切り短すぎだわ」
「クソって言わないの。」

と、時たまお兄さんが注意をする。

するといつもAちゃんはへへっと楽しそうに笑って、

「須貝さん、なんかお父さんみたいですね。」

と言う。

「せめてお兄ちゃんにしといてくれや」

そんなに歳離れてないやろがい、と心の中でツッコミを入れながらもそんなAちゃんも悔しいけど可愛いなと思うのである。

川上に彼女の素行を注意しないのかと聞くも、「え、気にした事ありません」と言うので彼氏からの指導は期待できそうにない。

まぁ、これもやっぱ、彼女の魅力なんだよな。

物静かな美人と見せかけて実は結構荒っぽかったり、男勝りに見せておいてちゃんと女性らしさを感じさせてきたり。

計算高そうだけど天然な部分もある。

Aちゃんの小悪魔的なところを上げればキリはないが、わかっていてもみんな魅力の塊みたいなこの女の沼から抜け出せないのである。

本当はさ、みんな妹って可愛い言葉でごまかして恋愛対象から頑張って外したんだと思うよ。

いや、本当に妹だと思って可愛がってるけど、この言葉がなければ絶対に1人の女として見てしまうだろ。

そんなことを、みんなと言葉を交わしながら柔らかく笑う彼女を見て思った。

「Aさんのこと見てました？」
「え」

突然、川上が俺の横にひょっこりやってきてそう問われたので少し動揺した。

「あげませんよ」

と冗談ぽく川上は笑って言う。

「取らねえよ…」
「ははは」

取る気なんてない、好きになるつもりも毛頭ない。だって…

「あの子はお前しか見えてないだろ。」

そう言うと、川上は否定することも照れ臭そうにする様子もなく平然と

「そうですね」

と肯定した。

余裕だな。でもそれが2人のいいところ。見てて飽きない良いカップルだと思う。

それに…

「妹に手は出せねぇだろ。」

ポツリと呟くと川上は可笑しそうにくすくす笑っていた。

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