clever and smart 2

番外編 roller coaster ページ20

今度の連休はみんなでUSJに行くことになっている。

みんなでする初めての遠出、初めての宿泊。

…なんだけど、あたしが遊園地に行くにあたっての問題点がいくつかあった。

まずひとつは、人混みが嫌いということである。大都会東京に住みながら致命的な弱点だとは思うが、あんな人気なテーマパークの人混みにあたしは耐えられるのか心配なところである。

そして、絶叫マシンが大の苦手ということだ。

高速で動く乗り物に心許ないベルトのみを命綱に乗り込み、生身のまま風にさらされる…。地上にいれば100%安全なのにわざわざ自ら危険に飛び込むなんてできない。

だけど、これはみんなとの思い出を作るとても素敵な機会で楽しみでもあるから複雑な心境だ。


当日、集合場所まで川上さんと一緒に向かった。

「なんか顔色悪くない？」
「だって低血圧だもん…」

ほぼ寝ぼけているあたしは川上さんの腕に捕まり半寝で歩いているようなものだった。

そんなあたしをみてくすくすと川上さんは笑った。

「それに昨日怖くて寝られなくて…」
「怖くて寝られない？Aさんが？え？」

しまった、失言した…。

幽霊や虫が平気なあたしが「怖い」というから川上さんは困惑している様子だった。

「あ、嘘です、何にも怖くありません。」

適当に言い繕うが訝しげな表情で見られてしょうがなく白状する。

「…あたしジェットコースターとか絶叫系の乗り物が苦手なんです。ついでに人混みも。」

すると川上さんは笑いだした。

「人混みは俺も苦手やけど…そっか…Aさんにも怖いものあるんだ。」
「ふくらさんにバレたら怖い話の仕返しで乗らされそうなので黙っててください。」
「どうしようかな…。怖がるAさんも見たいしなー。」
「鬼じゃん…」
「怖い話の時はAさんのほうが鬼だったけどね。」

確かに…。
あの時はちょっと遊びすぎた。だって怖がる川上さんとふくらさんが可愛くてしょうがなかっんだもん。

「因果応報…」
「せやな。」

そうして心の準備ができていないままに集合場所の駅に着き新幹線に乗ることになってしまったのだ。

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