大好きな人は。2

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マンションの階段を登ると、
部屋の前に見慣れた人影。


「西、島さん？
え？
なんで？」


西「よっ。」


「今日は、実彩子さんと一緒って…。」


西「あんな話してて、
今更実彩子の家に泊まると思う？」


「とにかく、入ってください！

誰かに見られたら大変！」


急いで鍵を開けて、
西島さんを部屋に押し込む。


「ちらかってますけど…。」

と言った私の腕を掴む西島さん。


西「そんなに簡単に男を部屋に入れたら、

ダメでしょ。」


「えっ…？」


そのまま腕を引かれ、
西島さん腕の中に
閉じ込められる。


「西島さん！？」


西「ほら、簡単に捕まっちゃうでしょ。」


ぎゅーっと抱きしめられて、
身動きが取れない。


西「なーんてね、冗談。
これ、渡しに来ただけだから。」


そう言って、私にCDケースを差し出す。


西「昨日録った、I'llbethere。
俺が作ったわけじゃないんだけど、
聴いてほしい。」


「…はい。」


西島さんは、じっと私を見つめて、
私の頬に手を添わせる。
そして、その手で
私の髪をひと束すくう。


頬に触れた手の冷たさに、
びくっとする体。


西「俺のものじゃないって、
わかってるけど。

他の男が触れてるのみると、
なんかムカつくな。」


そう言って、その髪にキスをした。


「！！」


西「じゃ、また明日。」


何も言えずバタンと閉まるドアを見つめる。


「何、今の…。」


体の力が抜けてぺたんと座り込む。
床にあたって、カツンと音を立てるCDケース。


「…あ。」


これ、聴いてほしいって言ってた。


パソコンを立ち上げ、
ケースからCDを取り出せば、


るりへ
　
fromNissy

と書かれてる。


CDをかけると、
何回か聞いたイントロ。


"逢いたい" "愛したい"
距離は何ピクセル?


日高さんのラップも、
西島さんのアレンジにかわってる。


Everyday, I'm thinking 'bout you lady

手の届きそうな距離
あと一歩が狂おしい


I'll be there for you
君をきつく抱きたい

強引にその心触れていい?


Be my love
You are mine
I'm yours, too



グループで歌う曲なのに、
全部西島さんの声。


これが、西島さんの気持ちってこと？


好きだって、
言われてるわけじゃない。
なのに、
こんなにも心を揺さぶる西島さんの歌声。

喜びと、
困惑と、
不安と、
疑問。


私は、私達はこの先どんな道を辿る？


☆続編、始めました！☆
引き続き楽しんでいただけたら嬉しいです。

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