▽ ページ22
『……。』
「あら何？図星だった？やっぱりさいき」
『今すぐその発言、取り消してください』
「…は？」
さすがに我慢できず、振り返って間抜けな顔をしている先輩を睨みつける。
『取り消してください。お客様を貶すような言葉、お客様に失礼です』
「なによ急に、いい子ぶって…」
『可哀想とか、見る目がないとが、そもそも体を売る？お客様に対してそんな下品な妄想をするなんて、人としてよくないと思います。そういう人を見下してる感じの悪さが滲み出てるから、指名全然されないんじゃないですか？』
「なッ、！！！」
冷たい声が口から出た。
思っていた以上に、私はこの先輩に怒っているのかもしれない。
冷めた視線を向けながら淡々と煽るように言い返せば、ファンデーションで固めて取り繕った肌がみるみる赤くなっていく。
「な、なによ！！貴方なんて、ただ偶然Subのランクが高く生まれただけじゃない！！たったそれだけで、なんにも努力してないくせにイイ男に囲まれてっ！！」
「はあ！？何その言い方！！！あんたの方がなんの努力もせずにグチグチ人に嫌味言って自己保身に走ってるくせに！！そもそもAさんは」
「うるさいっ！！」
図星だったのか、癇癪を起こした子供のように甲高い声で叫び、嫌に鋭い視線が後輩を刺す。
片腕を大きく振りかぶり、そのまま後輩めがけて……
パチンッ、と乾いた音がした。
「っ、」
「Aさんッ！！！」
『……』
悲痛な後輩の声がヒリヒリする頬に響く。咄嗟のことだったから口の中を少し噛んでしまった。でもヌメリとする血の感覚はないから多分口は切れてないと思う。
驚いた様子の先輩に視線を移せば、ビクリと肩を震わせていた。真っ赤だった顔が青くなっていく様子から、怒りで失っていた正気が戻ってきたのかもしれない。
『……先輩、ここ、監視カメラがあるの覚えてますか』
「……ぁ、」
私の言っていることが分かったのか、顔色は顔面蒼白。まるで被害者のように怯えた声を出すから、一周回って冷静になってくる。
『正当防衛でもない、ただの暴力です。これ以上やればクビになるかもしれませんし、もうやめましょうよ……じゃあ、私達はこれで。行こ』
「え、ぁ、えっと、はい……」
今度こそ私達は先輩に背を向けてその場を後にする。
コツンコツンとなるヒールの音は聞こえてこなかった＿＿＿
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苹果(プロフ) - 紅刃さん» ありがとうございます！ご期待に添えるように執筆、頑張らさせていただきます！ (3月30日 23時) (
レス) id: 6a3e3959ff (このIDを非表示/違反報告)
紅刃(プロフ) - とっても面白いです!!続き楽しみにしてます! (3月30日 23時) (レス) @page7 id: 147f4e35b6 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：苹果 | 作成日時：2025年3月30日 20時
