甘すぎて溶けちゃいそう！ ページ12
『……』
タンタンタン
タンタン
タンタンタンタン
「何聞いてるんですか？」
『わっ！？』
「アハッ、Aさん驚きすぎ(笑)」
驚きすぎてしまった恥ずかしさを隠すようにケラケラと笑う後輩に目を細める。
画面をもう一度タップすれば耳から聞こえていた音楽が止まり、さしていたイヤホンを外し終わる頃には後輩の笑い声も聞こえなくなっていた。
「で、何聞いてたんですか？」
『これ』
「…へー、知らない曲だ」
自分から聞いてきたのにあまり興味がなさそうな平坦な返事が返ってきたが、自分が知らないものだったらそんなもんだろう。
音楽が趣味です！と堂々と答えられるくらい音楽に興味があったら別かもしれないが。
「これ、再生数そんなですね」
『そんなって…いちおうミリオン再生はされてるけどね』
「いや〜、有名曲とか流行の曲とかくらいしか聞かないので。あ、ちょっと聞いてみても良いですか？」
『いいよー』
外したイヤホンを渡し、最初のAメロまで戻してから再生ボタンをタップする。
しばらく無言の時間が続くと一番のサビが終わったあたりで後輩はイヤホンを外した。
「めっちゃくちゃ良い曲じゃないですかっ…！Aさんが聞いてる曲センス良い！隠れた名曲ってかんじ！」
『ね、良い曲だよね。これね、お客さんにオススメされたから聞いてみたんだ』
「あ、お客さんに教えてもらったんですね？わざわざ聞くの偉っ！」
『せっかく教えてもらったし感想言いたかったからね。あとお客さんが教えてくれる曲、毎回良曲だから結構楽しみなんだ』
初めこそ次回指名されたときにお客さんが好きそうな話題に触れて親近感を感じてもらえればと思ってメモしたり聞いたりしてたけど、今じゃ昔に話題で触れ終わった曲を好き好んで聞くくらいにはお客さんが勧めてくる曲を楽しみにしてる自分がいたりする。
『あ、そろそろだからまたあとでね』
「今日も指名ですか？ほんとにAさんって大人気ですよね！…ちなみに、今回の指名客ってヒーローだったりしますか？」
『あー……、うん…』
興味津々に聞いてくる後輩。この手の話題、そろそろ飽きないのだろうか？そんなつもりじゃないけど自慢してるみたいで言い淀んでしまう。
「さっすがぁ！えー！せっかくだし帰りに一目くらい見てみたいな！」
『…お客さんの迷惑にはならないようにね？』
「わかってますって！」
ニコニコ笑う後輩に苦笑いしながら、私は仕事に向かった。
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苹果(プロフ) - 紅刃さん» ありがとうございます！ご期待に添えるように執筆、頑張らさせていただきます！ (3月30日 23時) (
レス) id: 6a3e3959ff (このIDを非表示/違反報告)
紅刃(プロフ) - とっても面白いです!!続き楽しみにしてます! (3月30日 23時) (レス) @page7 id: 147f4e35b6 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：苹果 | 作成日時：2025年3月30日 20時
