今宵は月が赤いですね。光ノ章

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同時の決戦から早3週間、
帰ってきた皆が意識を取り戻した。


私の持つマニュアルは機能しなくなり、
即座に緊急柱合会議が開かれる事になる。

決まったことは原作と同じだった。
柱稽古および痣者の増加、それのみ。




『で、何するんですか？』


「僕は高速移動」


『あぁ、霞の特長ですもんね』




私は体力強化訓練を免除され、
一人霞屋敷からスタートになった。

私達以外誰もいない道場に、
斬り合う音だけが響き渡る。


一汗かいたころ、軽く竹刀でこづかれた。




『な、何ですか』


「…伝えたいことがあって。今いい？」


『大丈夫ですよ』




師範が奥からお菓子を出してくれ、
縁側に二人、並んで座った。




『話って？』




あらかた分かってる。

記憶が戻ったことの報告とか、
家族のことを話してくれるとか、
きっとそういう類いの事だよね。


彼の意識が戻ってからも、
私は記憶について何も聞かなかった。

言うなら師範から言ってほしかったし、
無理に詮索するのも気が引けたから。




「…謝りたくて。
僕、色々君に嫌なこと言ったよね。
今まで僕は本当にどうかしてた、ごめん」


『え、謝らないで下さいよ』


「いや言うべきことだから」


『…全然気にしてなかったですし』




霞は必ずいつかは晴れて、
明るい未来を共に歩める。

それが分かりきっていたから、
何も辛くなんてなかったんだ。

終わりが来るのを知っているから。
知識は何よりも確実な道になる。


この幸せも、
いつかは掴めると知っていたから。




『あっ、私からもいいですか？』


「うん、何？」


『呼吸をね、合体させましょうよ！』




君を犠牲にすることなく、
奴を確実に滅殺するたった1つの方法。

上手くいくかは分からないけれど、
やってみる価値はきっとあるはず。




『師範の霞と、私の光。
真逆の2つを掛け合わせるんです』




目指すは1つ。
黒死牟へ赤い月を見せること。

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