今宵は月が赤いですね。光ノ章

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『…お疲れ様、お茶淹れましたよ』


「ありがとうね、助かりました」




満身創痍とまではいかなくとも、
それぞれ重い怪我を負って帰ってきた。

それでも死者は0。
皆生きてここに戻ってくれたんだ。




「…善逸くんと伊之助くん、
二人が少し時間がかかるかもしれない」


『そうですか』




意外なのは炭治郎だった。

原作では遊郭直後に2ヶ月寝込んでたし、
もしかしたらと不安になっていた。

でも彼は全然そんなこともなくて、
むしろ回復は早い方らしい。




「宇髄さんも毒を喰らいましたから、
忍とは言え限界はありますし…。

時透くんは大丈夫そうよ。
里組は数日で目を覚ますでしょう」




そう言って、
しのぶさんはゆっくりお茶をすすった。

沢山の仲間を1度に傷つけられたのに、
全く同様の色すら見せていない。


寂しいな。

たとえそれが本人の意思であっても、
本来の感情まで殺してほしくない。




「A、今日は泊まっていきますか？」


『いいんですか？』


「ええ、1日だけですよ。
任務の合間に会ってあげてね」




しのぶさんはまた診療に戻ったので、
私は一旦落ち着くまで庭に出る事にした。


カナヲの木刀をこっそり借りて、
静かに素振りの鍛練をする。

いつかこの手で潰すために、
出来ることは全部やっておきたいから。

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