今宵は月が赤いですね。光ノ章

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最終決戦もいつになるか分からないし、
普段通り鍛練する方がいいか。

じゃあまず手始めに、
そこらの鬼を斬ってこようかな。




『行ってきまーす』




2つとも戦いは今夜限りで終わるはず。

それまで何も出来ることはないから、
今は自分の仕事をきちんとしなきゃ。




『鬼さんこちらーー……』




湧いてる鬼を軽くなぶり斬り、
もう十数くらいは倒したはずだ。

技すらも使わない狩りほど
易くてつまらないものはないと思う。


まぁあまり呑気に出来ないけどね。

刀鍛冶は普段通りにいけばいいけど、
遊郭は下手をしたら死人が出る。


煉獄さんの加勢は大きいけれど、
炭治郎の痣がないのは致命傷だ。

炎も音も風も、
ここまで来てまで失くせない。




『でも、ここで風と蛇も痣が出れば…』




きっと無限城攻略が楽になる。

不死川さんなんかは相討ちになるから、
尚更始めから痣のある方が安心だ。


伊黒さんだってそう。

痣が早く出れば慣れるのも早まるし、
透き通る世界に早く入れるかもしれない。




『…まぁ、全部ifの話だけどさ』


「アマリ期待バッカリシスギルナヨ」


『そうだね、そう上手くいかないしね』




そう、全部【もしも】の話。

なんならこの私の存在自体、
本来あり得ないifの存在なんだから。




「モウソロソロ帰ルカ」


『うん、だいぶ明るくなってきたし』




東の空が紫色を帯びてきた。
帰る頃には日も昇るだろうか。

帰宅したらすぐ蝶屋敷へ行こう。
皆の怪我によっては戦法を変えなきゃ。




『曙光、悪いけど急ぐよ』


「了解」




光の呼吸の参ノ型、
これは霹靂一閃と酷似している。

抜刀はせず、呼吸だけ使って走った。
これならたぶん早く着けるはず。




『…もうこのまま蝶屋敷行こっか』


「ソウダナ、遠回リハ面倒ダ」


『鎹鴉のくせに怠け者だよね』




くだらない話題で駄弁っていたら、
屋敷に着く頃に朝日が昇ってきていた。




「Aさん、手伝って下さい！
ちょっと奥から包帯持ってきて！！」


『私部外者なんだけど…』


「居候だったんだし場所分かるでしょ！」




玄関の前に突っ立っていたら、アオイちゃんに使いっ走りにされてしまった。




『曙光、適当に待ってて』


「アイヨ」

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