今宵は月が赤いですね。光ノ章

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私の朝は基本早い。
令和の時代からそれなりの早起きだった。

朝から推しを眺める為であるが何か？




『おはよ、曙光』


「オハヨー」




現在AM4:50。
ほぼ夜明けと同時に目覚める私お婆ちゃんか。

浴衣のまんま庭に出てみた。
昨日の夜はあんまり散策できなかったしね。




『へぇ、キレイだな…』




さすがに産屋敷邸には劣るものの、ここもなかなかの日本庭園だ。

松やもみじ、梅の木もある。
どの木も樹齢は結構いってそうな立派な木だったけど、私の目は１本の木に釘づけになった。




「綺麗ナ銀杏ダナ」


『…だね』




他の木と比べると、まだ若い細めの木。
だけど、何よりも師範にぴったりの木。




『ねぇ曙光、知ってる？』


「何ガ？」


『銀杏の花言葉』





【荘厳】【長寿】【鎮魂】


荘厳、重々しくて立派なこと。
長寿、長生きをすること。
鎮魂、生者の魂をその体にとどめること。





『……有一郎のさ、願いなんだよね』




叶えてあげたいなぁ。私の願いでもあるから。

有一郎が命を懸けて守った弟を守りたい。
あの世でもう１度出会ったときは、２人の身長差が親子くらいにまでなっていてほしい。




「マ、オ前マデ死ナネェヨウニナ」


『それよね。元も子もないからね』




だから継子になったんだ。




「……誰？」


『おはようございます。
昨晩霞柱様の継子になりました、A です』




ボンヤリ庭を歩いていたら、木刀を使って素振りをする師範がいた。朝早いんだな。




「…あぁ、分かった」


『あれ、ずいぶん話が早いですね』




性格上そんなすんなりいくと思ってなかった。
毎朝の長ったらしい自己紹介覚悟してたのに。


首を傾げたら、師範が懐から手帳を出した。
へぇ、この時代にも手帳ってあるんだ。

なんか似合うな。
着物着て手帳持ってたらなんか文豪みたい。




「…君のことがある程度書き留めてある」


『え？』


「継子にした経緯とか、力の度合いとか」


『へえぇ』




私がトリップした時点で物語は変わる。
それはずっと頭に置いてきたことだ。
だけどこんな小さな所まで変わるんだな。

いや、別に原作でももしかしたらそういう裏設定があったのかもだけど、ないでしょ。
あったら炭治郎とか書き留めてるだろうし。

【隊律違反した赤毛の隊士がいる】
とか絶対書いてるよね、こわっ。




「…取りあえず報告に行かないと。
出掛ける支度して、鬼殺隊本部に行くよ」

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