今宵は月が赤いですね。光ノ章

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「…年の割に筋が良いのは知っている」


『ありがとうございます。
あの、でも言ってた事は忘れてください』




死を1番切望しているのはこの人だから。
完全に私の配慮が足りていなかった。


死んでほしくないのは皆に通じる事だけど、
それを本人の前で言うかどうかはまた違う。

これは私が墓場まで持っていく願い事だから。




「……お前の話を聞きたいね。
大泣きするくらいの出来事があるんだろう。

だが願いは皆同じだという事を忘れるな。
俺は自分より若い者が死に逝くのが嫌いだ」




蛇柱の視線が私と霞柱に向けられる。
伏せられたその目は悪夢を見てるようだった。




「…A、痣の発動条件と代償を」


『えっ』


「痣を出したくない子が不覚にもそうなってしまう…なんて事態を、私は避けたいんだ」




痣を出した者は25までに死を迎える。
言わば命の前借りに過ぎないもの。

誰がいつ出すとかは省いたけど、
一応炭治郎の出すタイミングだけ伝えた。

次だし、いいよね。


そういえば、
柱の中で1番に痣を出したのは師範だった。
あのカラーページで更に好きになったっけ。



努めて淡々と説明していく。

私も25の壁を越えてほしいと思うけど、
きっとここの皆はそんな事をいとわない。

話の後、即答で「出す」って言うんだろう。




『……という感じです』




私が話を切った後、場は静かになっていた。
誰も口を開かずお互いの顔を見合っている。

きっと仲間への気遣いだろう。
やっぱりここの人達は優しすぎるよ。




「…話は分かりましたが貴女の目的は？

私達が痣を出すことを止めること？
それとも、戦いで私達を死なせないこと？」




始めに口を開いたのはしのぶさん。

そうだ、数日前に私の目的聞かれたんだった。
柱合会議の時に話しますって言ったんだ。




「私の目的は2つです。
1つはもちろん、皆さんを死なせないこと」




痣を出さずに上弦撃破は不可能だ。
それが出来たら皆あんなに苦労してない。

…だけどその場合どうしても、
悲鳴嶼さんに平和な世界を見てもらえない。


だけど鬼殺隊最強の岩柱が痣なしなのは
流石に最終決戦でこちら側が不利すぎる。


その解決法はまだ模索中なんだけど、
とにかく25未満の人はひとまず助けられる。

最低4年は鬼のいない世界で生きてもらえる。
1番長ければ11年。

たとえ25で死んじゃうとしても、
皆ならその短い期間を全うしてくれる。



救済って言えると思うんだ。

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