今宵は月が赤いですね。光ノ章

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「…A、本当に大丈夫かい？」


『もちろんです！
私は未来が全部分かってるんですから！！』




空元気でもなんでもない。
私を支えてくれるのは師範だけじゃない。

皆がいるから、耐えられるの。




「お館様、失礼ですが今日の会議の内容は？
煉獄のことは既に皆聞き及んでおりますが」




感動な会話に遠慮なく踏み込んでくる蛇柱。
それを瞳をウルウルさせながら眺める恋柱。

最早風景である。




「…頃合いだと思ってね。
Aの言葉を、皆に共有しようと考えた」


『え？』




私の知る全てはお館様に伝えてある。
隊士の皆には随時知らせる予定だったのに。


今伝えたら混乱させない？
痣やら透き通る世界やら赫刀やら。

間違えても悪い意味で原作は変えたくない。
繋がるはずだった命が消えるとか、
そんなことは絶対にあってはならないこと。




「天元は今、潜入捜査に当たっているよね。
それが次の大きな戦い、上弦撃破に繋がる」




柱の体が一気に宇髄さんの方へ向く。
もちろん私の師範も例外じゃなかった。

本来煉獄の兄貴が死んだ時、
既に遊郭にいたからもう捜査は進んでるよね。


まぁ無限列車編からまだ3日なんだけどな。
柱の2人ピンピンしすぎだろ。
かまぼこ隊はまだ蝶屋敷、目覚めてもないのに。




「Aと無一郎は、天元に同行してもらう」


「御意」
『御意』




私はまぁ断られても行く気だったけど、
師範まで同行させるのは私の提案だった。


黒死牟戦での師範の敗因、
どうしてもカバーできない圧倒的な経験不足。

今どれだけ足掻いても、
きっと最終決戦までの時間は原作と同じ。
ならば、可能な限り戦闘経験を積むしかない。




「それと天元、少し残ってくれるかな。
今回の戦いの詳細をAから話してもらう」


「御意」




勝手に事が進んでて他の柱が置いてけぼり。
そりゃそうだ、ほぼ関係ないもんね。



夏を深め始めた産屋敷家の庭園は、
柱合裁判の時より緑色の葉っぱが増えていた。

日本庭園にはあんまり詳しくないけれど、
この庭が綺麗ってことは素人目にも明らかだ。

思わず見とれてしまい、
いつの間にか話を聞いてなかったみたい。




「A、お館様がお呼びだぞ」




隣にいる炎柱の耳打ちで我に返った。

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