今宵は月が赤いですね。霞ノ章

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『何してるのって、見た通りですよ』


「本当に何してるかなんて聞いてない。言いたい事、分かるでしょ？」




振り返るとむいくんがいた。
それなりに乱闘の音がしてたけど、
傷１つなく隊服も小綺麗なまんま。




「鬼に慈悲をかけてる暇なんかない。
沢山人を喰ってるんだよ。
鬼相手にそんな事して何になる？」


『でも、鬼も元は人間ですから』







鬼は嫌いだ。
大切な人達を殺してしまうから。



だけど鬼にも過去がある。

それぞれが辛い過去を持ってるんだ。
猗窩座の過去とかは特にそう。

だから私も炭治郎を見習うって決めた。
最期くらい人として死んでほしいから。
鬼の心を少しでも浄化したいから。




『鬼も人なんです』


「…馬鹿じゃないの」





分かってるよ。

今のむいくんには通じない。
恐らくこれからも。


むいくんだけじゃなく、
殆どの人が鬼に大切な人を奪われてる。
理解してくれとは言わない。

だけどこれが、私のやり方だ。





「早く帰るよ」


『え、私それなりに重症ですけど？』




容赦ないなぁ……。

右足に引っ掻き傷あるんだけどなぁ。
しかもめっちゃ大きいやつ。




「……はぁ」


『分かりましたよ歩きますぅ！！』


「………ん」




むいくんが私に背を向けてしゃがむ。
硬直してると、振り向いて睨まれた。




「ねぇ、乗るの？乗らないの？」


『いいの？重いですよ私…』


「いいから待ってるんだけど？」


『じゃ、お願いします…』




むいくんの首に手を回して体を預ける。
膝裏に彼の腕が入って視界が上がった。




「落ちても知らないからね。
しっかり捕まっててよ、急ぐから」


『は、はい』




むいくんのダッシュを私は知ってる。
小鉄くんの気持ちが今分かった。




『ひゃあっ！？』


「口閉じててよ舌噛むから」


『知ってるけど無理閉じないよぉ！』




風圧で開いた口が塞がらない(？)

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