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【参頁】望まぬ来訪者 ページ3



夢主視点



……最初の違和感はそう、何だったか。

深い湖の底。岩を枕にしてうたた寝していた折、自身の耳が微かな違和感を感じ取った。頭を上げ、背筋を伸ばす。重さの無い軽い足音はそう……。


『……キュイ?(……陽太?)』


……あれでも、おかしいな。


今は、昼の筈なのに。


陽太が来るのは例外無く深夜だ。理由でもあるのか、朝昼でやってきた事は無い。逆に毎夜必ず訪れてくれるから、私も夜行性の魚狙いで休んでいた。けれど、足音が聞こえるっていう事は……。



只事じゃ、ない



そう察知した私は、早急に水面へと頭を出した。

近くなってくる足音と共鳴したように、心臓の鼓動も強く早くなっていく。ポタ、と近くの葉から昨日の雨水が垂れ───·····。





何か小さな物体が、勢いよく湖の中に落ちた。




『ッ……!!』




勢いよく水飛沫が上がる。反射的に手で顔を守り、間を置くこと無く上を見上げる。この辺の立地は丘が多くて、深い緑に包まれている。最近雨が多かったせいか、地盤が緩んでいる。

つまり、今落ちたのは──·····。



『ギュアッ!!(陽太ッ!!)』



水面の波紋が収まらぬうちに勢いよく水の中へ潜る。高いところから落ちたせいか、泡が立って周りがよく見えない。けれど、私は人魚だ。水中の視界なんて、人間より遥かに良い。

正面を見る。居ない。

右を見る。居ない。

左を見る。居ない。



下を見る。



見つけた!!



カッと、目を見開く。下の方に、未だガボガボと藻掻いている小さな身体が見えた。予感はしていたが、やはり泳げていない。大量の水を飲み込んでいる。あれじゃ溺れるのも時間の問題だ。

泳げ。泳げ泳げ泳げ。



────よし、掴んだ!!



抱え込むようにして、陽太を胸に抱える。そのまま落とさないようにしっかりと抱き抱えて、陽の光が眩しい水面へと勢いよく浮上した。プハッと頭を上げ、ザブサブと泳ぎ半ば投げ出すように石の上に引き揚げた。



『ギュイ!ギュア!!(陽太!しっかり!!)』

陽「ゲホッ、人魚さん……?ごめんな、ヘマしちまった…」

『キュイ?キュア…(大丈夫?それにその頬の傷…)』



昨日まで無かった。


そう言葉に出す前に、苦笑いしていた陽太の顔が突然焦燥の色に染まった。


陽「ッそれより人魚さん大変なんだ!!さっき麓で剣を持ってる黒服の奴らを見つけた!人魚とか何とか言ってて……アイツら、人魚さんを殺す気だ!!」


脳内。

疑問。


寸前。



────炎の虎が、渦巻いた。

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設定タグ:鬼滅の刃 , 煉獄杏寿郎 , 妖怪   
作品ジャンル:恋愛
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賽ノ目 アカリ(プロフ) - 楓さん» ありがとうございます!(o*。_。)o (2022年6月12日 20時) (レス) id: d0b76ddb34 (このIDを非表示/違反報告)
- 頑張って下さいね!応援しますね! (2022年6月12日 20時) (レス) id: 12ed8e5001 (このIDを非表示/違反報告)
賽ノ目 アカリ(プロフ) - 楓さん» ごめんなさい、すぐ外しました!今後このような事が無いよう努めさせて頂きますm(_ _)m (2022年6月12日 20時) (レス) id: d0b76ddb34 (このIDを非表示/違反報告)
- オリジナル作品を消してくださいね!ルールですから。 (2022年6月12日 20時) (レス) @page5 id: 12ed8e5001 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:賽ノ目 アカリ | 作成日時:2022年6月12日 19時

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