よっつ ページ4
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紫耀と付き合ってもう5年になる。
2年ほど前に小さなアパートの一室を借りて
一緒に住み始めた。
そばにいる時間が増える度、近づく度、
私はアユさんを感じざるを得ない。
｢私｣を見てくれている時間でさえ、
優しくされるとあたたかい気持ちになって
嬉しいはずなのに心の底でどこか冷えていく
部分が主張してくる
それは時を重ねる毎に、少しずつ大きくなる。
私は、なにも気付かないフリ。
彼は、なにも気付いていない。
｢……永瀬くん｣
勤め先であるネイルサロンに見覚えのある男性が
来店したのは夕方の18時あたりだった。
産休をとったサヤコさんの代わりに
代理店長として身を置いている私。
｢……もう閉店の時間過ぎてるよ｣
｢おん｣
｢勝手に入っちゃダメだよ｣
｢知っとる｣
締め作業は丁度先ほど終えたばかり。
従業員は私以外既に帰った。
仕方なく、コーヒーをティーカップに入れて差し出す。
｢……どーも、｣
彼は、気を許した相手以外にはかなり無愛想だと思う。
小学生の頃からの幼馴染みらしい紫耀とは
満面の笑みで話す姿を見かけるのだから。
何年経っても私は、その気を許した相手には
なれないのだが
きっと今後何年経ったところで、
紫耀と付き合っている限りは絶対になれないだろう
｢相変わらず紫耀と住んどんの｣
｢……紫耀から聞いているでしょう｣
こうして偶に姿を現したかと思えば
答えなんて既に分かっている事を聞いてくる。
私がそう答えれば、面白くなさそうにふいっと
そっぽを向いて、そして、またフラっとどこかへ
帰っていくのがお決まりの流れになっていた。
だけど今日は違った。
｢……いつまで続けるん？｣
｢…………｣
真っ直ぐ、目を合わせたまま。
彼は新しく投げかけた。
｢もう……2年か？｣
｢…………｣
｢このままズルズルと続けんと｣
｢…………｣
｢はよ止めた方が……、身のためやで｣
｢……永瀬くんには関係ないよ｣
｢関係あるわ、紫耀の親友やし｣
ぐっと、言葉に詰まる。
｢……いつまでもアユを追いかけとる紫耀もやけど｣
ぽつり、
｢そんな紫耀に囚われとるお前が放っておけん……｣
ぽつり、
｢お願いやから……自分を大切にしてくれ……｣
小さく呟いて、
いつの間にか紫耀とは違った細身の身体に包まれていた。
＊＊＊
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るじぇ(プロフ) - 久しぶりの更新とっても嬉しいです！！！！！！大変だと思いますが、お話大好きなので続きたのしみです！ (2022年10月11日 8時) (
レス) @page35 id: a3715a06d4 (このIDを非表示/違反報告)
林檎(プロフ) - はじめまして！ほんっうにこの作品大好きです！更新お待ちしております！ (2021年6月13日 23時) (レス) id: 96ebd3d640 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：えだまめ | 作成日時：2019年2月8日 18時
