【鬼滅の刃】煉獄さんの姉に転生したら痣に殺.される運命だけど、それでもまた会いたいと願います【陸】

【佰漆拾壱】失った光。 ページ5

side無し

し｢これは？｣

『んー……しのぶの手！柔らかくてふわふわだ！』

し｢ならばこれは？｣

『……ちょっと、手って言ってるのに頭を撫でさせちゃ意味無いだろうが。
…嬉しいｹﾄﾞ(ボソッ)』

し｢ふふ、バレてしまいましたか｣

『流石にそこまで感覚は衰えちゃいないよ』

結果的に言うと……杏華は、両目を失明していた。
あの時と同じように、急激に痣が進行して……。
最早、眼帯で隠し切れない程には整った顔が痣で覆われている。

しかし……まぁ、女性というのは強い物で。

『そんなの見せとけばいいだろう』

『女の外面だけ見て判断する奴は男じゃない』

『足をひっぱろうとするやつの手なんて、容赦なく踏み潰せば良いだろう』

と、何でもないように言い切って見せた。
ヤダ……カッコイイ！！としのぶ…では無く、何故か杏寿郎がときめいていたが。
弟子と師匠というのは果たして似るものなのか。

錯乱したのは最初だけ。

今は、落ち着いている。

本人も、失明した事を理解しているらしい。
だが……流石に、突然世界が暗闇に包まれた衝撃や困惑は大きい。
とりあえず、手近な者の手を握って人物を判断する訓練から始めることにした。

今やっている物がそうだ。

とりあえず予定が開く者から順に招集をかけて、片っ端から手を握らせている。

字面が若干握手会にも見えなくは無いが、傍から見たらそうとしか見えないのが難点である。
因みに、目を開いていると火傷と外気と相まって痛くなるらしいので普段は閉じている。

『糸目キャラ初体験〜！』と本人は何故かはしゃいでいたが。

まるで深刻視してない様子の杏華に杏寿郎はまだしもしのぶが呆れの目線を送ったのは割と最近の出来事だ。
現在の杏華の状態は……上記の軽い訓練が出来るくらいには安定している。
それでもまだ…油断は出来ないが。

そもそも視力が無い為、歩行や食事に人の手を借りる必要があるが。

煉｢あ、姉上……コレは？｣

『おぉ、杏寿郎じゃないか。
随分大きくなったねぇ』

感覚の外から手を挟み込んだのにも関わらず、先程のしのぶより早い回答速度に杏寿郎は嬉しそうに顔を綻ばせた。
もう少し容態が安定したら、他の柱や家族も招集する予定である。


だが……しのぶ曰く、｢もう二度と視力が戻ることは無いでしょう｣…との事。

けれど、杏華という人物は何処までも杏華だった。





『なら大切な者達の手をいつでも握れるじゃないか！……確かにもう目が見えないのは寂しいけどね。
忙しいけど、時間があれば君達と触れ合って行きたいなぁ』

【佰漆拾弐】歩行訓練の末。→←【佰漆拾】視力。

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