【佰弐拾陸】乱戦。 ページ39
夢主side
『──ッ?!』
首元を炎が掠める。
それと同時に、私の血を栄養にして成長しようとしていた植物が炎に巻かれるようにして焼け焦げた。
ふっと無くなった激痛ににわかに困惑しつつも、大体予想がついていた乱入者に向けてやや激しめに叫んだ。
『千寿郎!!何をしている!!』
千「ぼ、…いや、俺だって姉上を守れます!!」
『ッ……!』
弟の決意に圧されたが、しかし今の状況はまずいと考え直す。
だが、そんな私の意見など振り払うように───まだ未使用の日輪刀(予備)が、紅く紅く染まっていたのだ。
赫刀……では無い。
ならば、あれは……!
葛「ほぅ、煉獄家の出来損ないが目覚めたか……だが、一人増えたとて所詮変わりはせん!!」
千「ッ…!」
…カタリ、と日輪刀を掴む小さな手が揺れている。
……気のせいか、更に状況がまずくなった気がする…。
いや、千寿郎には申し訳ないんだけど…。
けれど、覚悟と決意に満ちた杏寿郎そっくりの瞳を見たら……到底追い返すなど、出来なくなってしまって。
気が付けば私は、一度グッと強く刀の柄を握り直し再度叫んでいた。
『これより"鬼殺隊士"煉獄千寿郎に命ずる!貴殿は、元炎柱煉獄 杏華の戦闘補助にあたって貰う!許可無く離脱する場合は命令違反と見なす!これは上官命令だ!!返事!!』
千「は、はい……っ!」
今まで何百何千回とやってきた、通過儀礼。
最早慣れ親しんだそれが、何だか今は特別に感じた。
カハハ、と口元を歪めた。
嗚呼、そうだよ……鬼殺隊の私の一番の得意分野は…、
千・「『────不知火!!』」
─────仲間との合同任務による連携だ!!
呼吸が使えなくとも、身体は覚えている。
今だってそうだ、炎は薄いものの極力負担を軽くした炎の呼吸が使えた。
『千寿郎!零時の方向に血鬼術!!』
千「はい!!」
呼吸が使えなくとも、例え今の今まで色変わりの刀に色が付かなくとも。
───千寿郎は、立派な剣士だ!!
それは、姉の私が保証しよう。
千寿郎は強い。
強くて優しい、自慢の弟だ。
そんな弟を戦いに駆り出してしまったことについて、負い目が無いと言えば嘘になる。
だが、それが何だ。
不得手ながら、初めてながら、千寿郎は今鬼と戦っているぞ。
ならば、ならば───……、
『奥義 煉獄!!』
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茨の谷の第二王子 - すみませんw私あんまり優しくないのでのところでどこぞの糞カラs((ン"ン"学園長を連想してしまったw誰か僕を○してくれw (2022年2月18日 15時) (レス) @page28 id: 436e3086c5 (このIDを非表示/違反報告)
花陰 桜(プロフ) - 澪凪さん» ありがとうございます(*´ω`*)無事に治って良かったです! (2021年8月13日 18時) (レス) id: f28080f41d (このIDを非表示/違反報告)
花陰 桜(プロフ) - さねみん推し(だが渋い槇寿郎も好き)さん» 私も大好きです…!皆で酒盛りして欲しかった……(願望) (2021年8月13日 18時) (レス) id: f28080f41d (このIDを非表示/違反報告)
澪凪(プロフ) - 風邪治ってよかったです!!お体には気を付けてくださいね!<(_ _)> (2021年8月13日 16時) (レス) id: 279a2ef6a9 (このIDを非表示/違反報告)
さねみん推し(だが渋い槇寿郎も好き) - 家族思いで本当は優しい渋くてカッコいい槇寿郎さん素敵! (2021年8月13日 16時) (レス) id: c50ca7ded5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:花陰 桜 | 作成日時:2021年7月24日 18時