【鬼滅の刃】ねぇ、守れたよ【肆】

【佰拾捌】相反する悪意。 ページ28

夢主side

桃｢ッ……！｣

何故起きたのか、と言わんばかりに桃音の顔が憎悪と焦りの色に歪む。
大方入院中の私を狙っての犯行、といったところか……だがしかし、残念だったなァ






『そんなブレブレの刃じゃ、鬼すら殺せねぇよ

────クソが』






我ながら恐ろしい顔で凄めば、桃音の顔が面白いくらいに恐怖に歪んだ。
ふん、他人を殺そうとした癖に殺される覚悟は無いのか。

雑魚め。

因みに忘れてるかもしれないが、ここは蝶屋敷。
しかも時刻は深夜。
時刻の選び方は正解だが、その前に本人に起きられたら意味が無い。

結局、鬼ではなく人を殺す事の覚悟や決意すらこいつには無かったという事だろう。

スカスカの刃を掲げて暗殺などとは、勘違いも甚だしい。

けれど、まぁ…この時刻、しかも私以外に多数の隊士が入院している蝶屋敷で大騒ぎをするのはまずい。
下手したら混乱に紛れて逃げられる可能性すら出てくる。
一人部屋とはいえ、それは避けたい。




だから─────最近弟子入りを志願してきた、有能な弟子に頼むことにしよう。







『"獪岳"』







言うが早いか。

ど、と桃音の首の後ろから重量感のある音が響いた。
その瞬間、フラリと桃音の身体の力が無くなり私の方へと倒れ込んでくる。
勿論受け止めるなんてする気がしないので、しっかりと床に落として置いた。

え、無情？知りませんねぇ。

私あんまり優しくないので(某カラスを想像した人は握手しよう)

言わずもがな、獪岳が桃音の首に手刀を落とした音だ。

『んー……いてて、』

上体を起こし、グッパと手をにぎにぎする。
勿論クソ痛かった。
火傷どころか手の甲まで貫通しているので当たり前である。

と、不意にシュルリと手に包帯が巻かれた。

顔を上げると、獪岳が平然とした顔で包帯を巻き巻きしていた。

『獪岳、平気だって。
こんな傷すぐ塞がる』

獪｢手に穴が空いてる人の平気は信用なりません。
たまたま俺が療養中だから良かったものの…｣

『(´・∀・｀ )ｱﾗﾏｧ』

獪｢ぶん殴りますよ｣

ガチトーンで言われて思わずお口をミ○フィーちゃんにした。
下手な事は言わない、杏華知ってる。
大人しく治療を受けていると、流石に物音か血の匂いで気付いたのかドタドタと辺りが騒がしくなった。

し｢杏華さん、何事ですか？！｣

カナ(エ)｢何だか血の匂いがするのだけど……ってあら、この子…｣

カナエが床に伏せてダウンした桃音を見つけ、あらまぁと頬に手を添える。

『おぉ、皆さんお揃いで〜』


とりあえず、これ以上大事にならなくて良かったと安堵したのだった。

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