【佰弐拾】救えなかった命、救えた命。 ページ20
side無し
同時刻、杏寿郎が少年と邂逅している頃。
同じように、杏華も来訪者と邂逅していた。
体格、髪色、容姿と何もかもが違うのに、何故だか【同一人物】のように思える人物だ。
『……君かい、毎回夢の中で私を殺しているのは』
腕を組み、目の前の小さな少女を見据える杏華。
少女はその問いには応えずに、ただうわ言のように小さな唇を開いた。
？｢……どうして？｣
『ん？』
？｢どうして貴方は救えて、私は救えなかったの？｣
『……！』
それは、拙い疑問だった。
僅かながらに目を見開く杏華を見つめながら──その少女は、百合と、そう名乗った。
百合は、弟を救えなかった。
それどころか、その弟と母親に庇われる始末。
年齢的に見れば、百合は大正でいう寺子屋に通っているであろう年齢だ。
しかし、その口調は仕草は思ったよりずっと幼かった。
それは、ひとえに虐待を受けていたからに他ならない。
恐らく、精神的に大切な物が欠如しているのだろう。
『ははぁなるほど、それが原因か……それで？私を夢の中で殺して何の意味がある？
君は所謂偶像だ、直接的に被害を加える事は出来ない』
『まぁ、現実の方で首絞めはあったみたいだけどサ……めっちゃ苦しいぞアレ()』と、苦々しげに呟く杏華はしかししっかりと百合を見つめていた。
……そう、覚えていたのだ。
夢の内容を、全部、鮮明に。
覚えていて、わざと知らぬフリをした。
今目の前にいる偶像を、決して外界に出さぬように。
目の前の百合は────言わば、トラウマの具現化のようなものだ。
前世、弟を救えなかったトラウマ。
前世、何も出来なかったトラウマ。
前世、大切な家族達を失ったトラウマ。
前世─────何よりも、自分を憎んだトラウマ。
その憎しみが、怒りが、殺意が、前世の自分となって今の彼女に襲いかかって来たのだ。
しかし、薄いように見えてあまりに濃すぎる深層心理に根付いた記憶。
今世は確かに弟を救った。
しかし前世は？百合は？
記憶にはほとんど残らず、しかし頭の奥深くに巣食っていたそれがあまりにも離れすぎたそれと乖離を起こした。
トラウマは、まだ終わりでは無かった。
今世で受けたトラウマなら、今世で治す事が出来る。
しかし、前世のトラウマは？例え表面上は治したとて、奥深くに潜む其れは到底癒すことが出来ない。
だって、もう違う世界なのだから。
だが─────それは、彼女が諦める理由にならない。
『元柱の私の精神力を舐めるなよ』
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茨の谷の第二王子 - すみませんw私あんまり優しくないのでのところでどこぞの糞カラs((ﾝ"ﾝ"学園長を連想してしまったw誰か僕を○してくれw (2022年2月18日 15時) (
レス) @page28 id: 436e3086c5 (このIDを非表示/違反報告)
花陰 桜(プロフ) - 澪凪さん» ありがとうございます(*´ω｀*)無事に治って良かったです！ (2021年8月13日 18時) (レス) id: f28080f41d (このIDを非表示/違反報告)
花陰 桜(プロフ) - さねみん推し(だが渋い槇寿郎も好き)さん» 私も大好きです…！皆で酒盛りして欲しかった……(願望) (2021年8月13日 18時) (レス) id: f28080f41d (このIDを非表示/違反報告)
澪凪(プロフ) - 風邪治ってよかったです！！お体には気を付けてくださいね！<(_ _)> (2021年8月13日 16時) (レス) id: 279a2ef6a9 (このIDを非表示/違反報告)
さねみん推し(だが渋い槇寿郎も好き) - 家族思いで本当は優しい渋くてカッコいい槇寿郎さん素敵！ (2021年8月13日 16時) (レス) id: c50ca7ded5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：花陰 桜 | 作成日時：2021年7月24日 18時
