【鬼滅の刃】ねぇ、守れたよ【肆】

【佰拾肆】悪夢。 ページ14

※分かりにくいかもしれませんが、夢主の前世過去話と繋がっています

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しのぶside

し｢……杏華さんが、毎夜悪夢を見ている？｣

最初、相談を受けたのは彼からだった。

いつもの快活な笑顔は何処へやら、凛々しい眉を下げ柄にもなく弱々しい表情をする彼…煉獄さんに厄介事の気配を感じたのは記憶に新しい。

…確かに、束の間の休息でも悪夢に魘され困っているという相談はよく受ける。

家族を殺された、鬼にされたという境遇を背負っている人は多い。
だからこそ、その時に感じた殺意や怒りがそのまま刃となって鬼を殺すのだ。

……しかし、記憶にこびり付くトラウマという物はそう簡単に払拭される物では無い。

心も身体も存分に成長しても、過去のトラウマはずっと置いてきぼりのままだ。
その穴を埋める為、皆々一心不乱に鬼を狩るのだろう。

……おっと、話が逸れた。

と、そんな訳で彼女の悪夢もそれと同じ系列の物かと思ったが……、

し｢それはそれは……彼女はまだ柱を引退したばかり、今まで積み上げてきたトラウマを完全に忘れるにはまだ時期が早いのでは？｣

煉｢否｣

どうやら、今回ばかりは毛色が違うようだ。
真剣な声色と表情に、キュッと口の端を引き結び煉獄さんと向き合った。

煉｢俺も最初はそう思った。
だが、姉上の様子が……あまりにも、異常過ぎるんだ｣

し｢…というと？｣

煉｢俺が寝てる部屋は姉上の一個隣なのだが、柱を引退して数日辺りから呻き声が聞こえてきてな…｣

し｢呻き声…｣

煉｢最初は単に魘されてるだけかと思ったが、流石にこう何日も続くとな……心配になって覗いて見たら…寝てる筈なのにまるで意志を持っているように自分の頸を絞めていたのだ｣

し｢…それは、｣

思案する為に顎を触っている姿勢から一転、パッと顔を上げ僅かに目を見開いた。
…夢遊病の類で、寝てる間に動き出す症例は確かに、ある。

しかし、彼女のそれは最早人体に影響を及ぼすレベルのそれだ。

そして、忘れてはならないのが彼女は元とはいえ柱。
諸々の怪我により握力は幾らか落ちているとはいえ、夜明けまで上弦の参の頸に刃を突き立て続けた実状を考えると……。



し｢…その話、もう少し詳しく聞かせて頂けませんか｣

どうやら、彼女の親友として一肌脱ぐ必要がありそうだ。

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