【鬼滅の刃】煉獄さんの姉に転生したら悪女に文句を付けられた件について。

【拾陸】指切りげんまんの約束。 ページ20

夢主side

さて、いつその愛弟子(笑)が現れるかやきもきしていたが…それまでに、最終選別の時が来てしまった。

こうなりゃそれに関しては一切記憶から抹消して、真剣に挑む事にした。
これから臨むのは命の取り合い、文字通り弱肉強食の世界だ。
弱い者は淘汰され、強いものが生き残る世界。

私は、その中で頂点に立たねばならない。

杏寿郎の未来を守る為、それから、"新たな命"を守る為………。

───そう、(恐らく)千寿郎君との出会いだ。

タイミングが良いのか悪いのか、一週間後の最終選別…つまり選別が終わるその日が出産予定日だという。
そして、今日がその旅立ちの日だ。

槇｢……筋がいいお前のことだから、難なく突破するとは思うが…精進しろよ｣

『勿論です、父上』

煉｢姉上…行ってしまわれるのですか？｣

最近鍛錬を始めた杏寿郎が不安そうに凛々しい眉を下げる愛しい弟に思わず笑ってしまい、いつもの癖で頭を撫でてやった。

『今世の別れという訳じゃないんだ、そう悲しそうな顔をするな。
…だけどそうだね……うん、一つ約束をしよう』

煉｢…約束？｣

『そう、指切りげんまんのおまじないだ。
小さな頃よくやったろう。
ほら、小指を出して』

膝を折り杏寿郎と視線を合わせ、まだ子供らしい小さな小指と小指を絡ませた。

指切りげんまん 嘘ついたら針千本飲ます

煉｢ゆーびきった！｣

『ふふ、私が杏寿郎との約束をそう簡単に破る訳が無いだろう？』

煉｢姉上は嘘をつきません！｣

自信満々でそう言い切る杏寿郎に、またもや笑顔が零れる。
槇寿郎さんと瑠火さんの方を見れば、全く不安じゃないという感じでコクリと頷いてくれた。

『では、行ってきます。
母上、父上、杏寿郎』

槇・瑠｢｢行ってらしゃい、杏華｣｣

煉｢行ってらしゃいませ姉上！｣

『───必ず、戻ってくるよ』

そしてまたいつものようにただいまと言おう。
なんて事ない、普通の遠出から帰ってきたように。
ちっとも怖くなんて無かった。
だって、家には母上や父上……皆が居るから。

因みに、ここにいない小芭内はというと少し前に育手の元に旅立って行った。
彼なりに何か思うところがあったのだろう、見送りはすれど引き止めはしなかった。

またその先の未来で、元気な顔を見せてくれると信じているから。

信じているからこそ、こんなにも強くあれるのだ。


さぁ────藤襲山の鬼共よ、震えて待つがよい。

ゴウゴウ燃える、虎が通るぞ。
お前らのことを喰らいに来るぞ。



【今宵参るは炎の娘】

【鬼を燃やす地獄の炎のように】

【確かに獄炎はそこに灯った】

【拾漆】最終選別と悪女との出会い。→←大正コソコソ噂話。

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