14 ページ16
.
次の日、朝練があったため朝に彼女と会うことはなく、校舎でももちろん会うことはなく、それがいいのか悪いのかわからないが、彼女との接触もないまま放課後に。
体育館で部活の準備をしていると、ガラリと扉が開いて先輩が入ってきた。
「ちーす」
あっちぃ、なんて言いながら体育館に足を入れるのは、木葉さん。そして、その後ろには、
「こ、こんにチハー……」
明らかにあたふたな態度を取る、彼女の姿。
思わず二度見してしまった。なぜ彼女が木葉さんと一緒に体育館に来ているのだ、と。
「なー聞いて、Aちゃんに会ってさー、暇だっつうから来てもらったんだよ、ちょっとだけな」
「マジで!?」
「うおっ、本物!!」
バレー部ではすっかり有名人になってしまった彼女は、みんなから歓迎されている。
ちらりと横目で彼女を見ると、昨日のことなんて忘れてしまったかのような普通の態度で『助けて』と俺にアイコンタクトを送っていた。
こういうところでもみくちゃにされるのに慣れていないのだろう。
呆れながら『がんばれ』と口パクで言うと、彼女はむっとして俺を睨んだ。
俺が何を言おうがきっと無駄だろうから彼女には悪いが頑張れと言うことしかできない。
部活が始まるまでの時間、彼女は部員達に囲まれていた。最初はかなりテンパっていたが少しずつ慣れたようで最後は楽しく会話していたみたいだ。
独占欲とかいうやつで、上手く喜んであげられない自分に嫌気が差した。
「あかーし喋んねえでよかったの?」
「いつも喋ってますし」
「そっかー!幼馴染だもんな!」
「まあ、」
いいなー、幼馴染!と羨ましがる木兎さんに、普通ですよ、と返した。それ以外に言葉が浮かばなかった。
“幼馴染”まるで友達以上家族未満とでも言われているようなその関係は今は嫌いだ。
恋愛対象にすら入り得ない気がしたから。
木兎さんはもちろんそんなこと知らずに彼女のことを嬉しそうに話した。
「またはちみつレモン頼んどいた!」
「……彼女、喜びますよ」
彼女はいつまで俺にはちみつレモンを渡してくれるのだろうか、そんなことまで考えるようになったのは悪いことなのだろうか。
.
157人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「ハイキュー」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
あぁ(プロフ) - みないさん» ありがとうございます( ; _ ; )恐縮すぎて言葉が出ません(>_<)赤葦くんらしさを出しながら最後まで話を組み立てられたらな、と思っています。最後までお付き合いいただけると光栄です (2018年7月28日 21時) (レス) id: 3b7b992785 (このIDを非表示/違反報告)
みない(プロフ) - 久しぶりに占ツクを開いたら大好きなあぁさんの作品が出てて凄く嬉しいです。あぁさんの赤葦凄く好きです。続きとても楽しみにしています。更新頑張ってください!! (2018年7月28日 18時) (レス) id: 4024dcb8cc (このIDを非表示/違反報告)
あぁ(プロフ) - しおさん» ありがとうございます(>_<)作品に合った雰囲気で書ければな、と思っていますのでそう言っていただけて嬉しいです、どうか最後までよろしくお願い致します (2018年7月18日 23時) (レス) id: 3b7b992785 (このIDを非表示/違反報告)
しお - コメント失礼します。あぁさんのお話、どれも雰囲気溢れていてとても好きです。更新応援してます。そしてご自愛くださいね (2018年7月18日 21時) (レス) id: 12b75cb48a (このIDを非表示/違反報告)
あぁ(プロフ) - チャリアカーさん» ありがとうございます( ; _ ; )不定期更新となりますが最後までお付き合い頂けると嬉しいです、 (2018年7月17日 14時) (レス) id: 3b7b992785 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ