新たな異変 ページ38
*
Aちゃんは、長いリハビリと休養の後、ようやく活動に復帰した。しかし、完治したわけではない。
「「おかえり、A！」」
メンバーやスタッフは温かく迎えてくれたが、彼女が舞台に戻るたびに感じるのは、体調の不安定さだった。
体力が回復してきても、声がガラガラで、息が上手く続かない。
そして、気づかないうちに、言葉をうまく発することができない自分に戸惑いが募っていた。
ある日、「JO1のオールナイトニッポンX」 の生放送中。
普段通りに進行するはずの番組で、Aちゃんはいつも以上に気を使っていた。
まだ本調子ではない自分が、放送の中で何かしらのミスをしないかと心配でたまらなかった。
『それでは、次のコーナーへ行きます……』
Aちゃんがマイクに向かって言葉を発したが、少し息が詰まる。
目の前の台本を読むべきだが、視線が定まらず、言葉が上手く出てこない。
モゴモゴと音が漏れ、彼女はしばらく黙り込んでしまった。
瑠姫がすぐにフォローに入る。
瑠姫「おっと、A、今日の調子どう？ ちょっと、いつもより声が出にくいかな？」
Aちゃんは必死にうなずく。
『ごめんなさぃ、ちょっと笑……ふう……』
彼女の言葉は、相変わらずガラガラで、息が続かず、時折言葉を詰まらせていた。
それでも、瑠姫は優しく笑顔で進行を助け、二人で続けることができた。
瑠姫「大丈夫だよA。」
瑠姫のその言葉に、Aちゃんは頷きながらも少し不安そうに顔を上げた。
『うん……ありがとうございます笑』
その後、番組は無事終了したが、Aちゃんは心の中で再び悩みが湧き上がっていた。
もっと上手くできたのに。
どうして、言葉がうまく出てこないんだろう。
次の日のミーティングでは、メンバーやスタッフと共に新しい企画や活動について話し合っていた。
普段ならスムーズに言葉を交わせる場所でも、今日はなぜかうまくいかない。
『こ、これ……あ、あの、これ……』
『……あれ？ うーん…』
Aちゃんは自分の言葉がモゴモゴとしか聞こえないことに気づき、顔を赤くした。
その間に、他のメンバーが少し心配そうに彼女を見つめていた。
碧海「A、無理しなくていいよ」
拓実「そうだよ、今日は休みが必要かもしれないし、遠慮しないでね」
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