壱馬の声を聴かせたい 2

2-39. ページ39

Aside 2023/1





A「パスポート大丈夫ですか？
古いやつとかやめてね？
忘れた人置いてくよ？」



口うるさく言った甲斐あって
無事に韓国入りできた





壱馬「寒いやろ
なんでマフラーしてないん」



A「キャリーに入れちゃった」



壱馬「まだ本調子やないのに
何してるん

また熱出したい？」





壱馬のマフラーを私に巻いて
メンバーの輪に戻っていった





健太「やっと付き合った？」



A「『やっと』って何ー？」



健太「壱馬おすすめ〜」





フラッと来て隣に座った
健太くんがさっきの
マフラーのくだりを聞いてたらしく



自分の物かのように
『おすすめ〜』と言って
メンバーの元へ



…みんなして壱馬はいいやつとか
おすすめとか、知ってるよ



それが私を悩ませてる
原因の一つなの！





北人「今日の夜壱馬と
激辛行くんでしょ？」



A「うん」



北人「純粋に楽しめばいんだよ」



A「…純粋」



北人「そう、純粋
激辛仲間と激辛行くだけ、ね？」



A「うん」



北人「いつでも相談乗るから
思い詰めて溜め込むのはだめだよ？」





貸し切ったお店で
全員と夕食を食べて解散になったあと



私と壱馬は
コーディネーターさんおすすめの
ご飯屋さんに入った





壱馬「さっぶー、韓国なめてた」



A「だから
マフラー返すって言ったのに」



壱馬「もらうわけないやろ
もう風邪ひいて
辛そうなA見たくない」



A「先日は
お見苦しいところを晒して申し訳ない」



壱馬「ふは、なんやそれ
メニュー教えて」





大学で韓国語を触って
仕事にも役立つと思って
韓国語教室に通ってた私が



メニュー表みて
壱馬と相談して注文



届いた料理を食べて
本場の辛さも
いけちゃうことが判明して



ここでも辛くて無理な料理には
出会えなかった





壱馬「出るか」



A「もういいの？」





『食ったからもういい』と
会計してお店を出て



メンバーが飲んでるという
バーへ向かった



バーに着いて
メイク直しでお手洗いにいった帰り



「お姉さん」とだる絡みする
集団に捕まって戻れなかった



触らないでほしい
手を離してほしい





「お姉さんも次行こう」





このまま連れて行かれたらまずい
そんなことわかってるけど
パニックの頭に韓国語が出てこない

2-40.→←2-38.

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す