未練タラタラやん、俺もやけど。【白膠木簓】 (ページ14)

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Title 14 ページ14

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彼らのライブから1ヶ月程経過した。

相変わらず後輩の佐藤は躑躅森盧笙君にゾッコンで

終いにはオフィスのデスクにまでブロマイドが飾られるようになり、

社内では佐藤はお笑い芸人にガチ恋という噂が流れ始めた。

まあ、噂と言っても事実何だけど

そんな佐藤は本日早上がりに成功し

17時には退社しており

私も今日は18時きっちり定時に上がることが出来た。

その為浮き足でスーパーに向かう

ちゃんとご飯作ってたまには栄養を摂らなければ

何を作ろうかと悩みながら様々な食材を

カゴの中に放り込んでいく

また残業が続いてしまうだろうし貯蓄だ貯蓄。

「 ……A、さん? 」

ふと、自分の名前を呼ばれた気がして、振り返ると

そこには丸眼鏡を掛けた男

後輩の佐藤がガチ恋している

基、私の元彼の相棒であった

躑躅森盧笙くんが確かに私の方を向いていた

私名前を呼んだのは彼で間違いないだろう

こんな所でたまたま鉢合うなんて

全く運が良いのか悪いのか分からない

「 …ひ、さしぶり」

今の私は全く笑えていないと思う

引き攣った笑顔

鏡が無くとも自分の間抜けな顔は1番分かっているつもりだ

だけどもまあ、盧笙くんの顔には笑顔のえの字もなくて

ただ真っ直ぐに

私の瞳を見つめるだけだった。

何となくその目の奥には申し訳なさを感じる

もう何年も前の話だよ。

当時、私は21で彼も24だったし

もうあれから2年も経ったんだ。

そんな大昔の話、引き摺ってなんか…

「ライブ、来てくれてたって話ほんまですか? 」

「え、？嗚呼……後輩がハマっててね。それの付き添いで」

「それでも嬉しいです。
……もう会えんと思うてたから」

ほら、すぐそういうこと言う

よくないよ。盧笙くん

「じゃあ、私明日も仕事あるから…… 」

「もう1回……
もう1回だけ簓と会(お)ぉたってくれへんですか」

その場から離れようとした足は

盧笙くんの言葉でいとも簡単に静止する

…あの男の事となるといつもこうだ

私の心を掴んで、ずっーと離してこないの

あの笑顔が、声色が、顔が。

「会って、どうなるのかな」

「そりゃ勿論復縁……!!! 」

「ねえ、盧笙くん

────── もう2年も前の話だよ。」

今更会いたいなんて、言えないな

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