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第四十一話 ページ42

____コン、と微睡の向こうで音がする。
 何の音だろう、とは思ったけど、それもすぐどうでも良くなって身体を丸くした。

 コンコン、と続けて音が鳴る。それから誰かの喋る声。
 とうさん?今日、って学校だっけ…?
 がちゃりとドアが開く音がして、渋々身を起こした。いつまで寝てるんだと怒られては堪らない。

 明かりの中でぼーっとしていると、向こうから白っぽい何かが近寄ってくる。


『嘘やろ、寝てたんか?』


 ぱち、と目が覚めた。
 そうだ、今、僕、家じゃ無いとこにいるんだった。
 多分初めて聞く声に目を瞬かせ、目の前の相手を見上げる。ずいぶん背の高い人だ、と思った。

 目が見えないくらい分厚い眼鏡を掛けた人は、ふす、と息を漏らすように小さく笑う。


『んふふ、痕付いてんで』
「……??」
『あ、初めまして。チーノです、よろしゅうな〜』


 相手がしゃがんで視線が下から来て、それでやっと相手の顔に輪郭がついた。薄い水色の、随分な跳ねっ毛をしていた。


『夕飯の時間やから呼びに来たんよ。お腹空いてるやろ?』


 握手のように手を差し出されて、頭に?(ハテナ)を浮かべつつも特に何も思わずその手を握る。
 するとそのままベッドから半ば引き摺るように降ろされて、痛くないけどちっとも手を振り解けない状態で廊下に出た。

 欠伸を噛み殺しながら、顔に掛かる自分の癖毛を手櫛で直す。元がふわふわしているから、一度癖がつくともさもさになってしまうのだ。


『まだ眠いん?結構寝てたんとちゃうの?』
「……?」
『あ、そっか言葉わからへんのやっけ』
「……だれ?」
『ん?』


 今更だけど、この人誰?
 青っぽいズボン、サスペンダーに白いワイシャツ。金色の大きな…懐中時計?ペンダントかもしれない。
 食堂にもいなかった気がするし、部屋に帰る前に出会ったガタイの良いあの人みたいな制服も着ていない。どっちかというと、エーミールさんやしゃおろんさんみたいな私服っぽい感じだ。

 案内してくれてる感じから見るに、此処のひとかなあ、とぼやーっと寝ぼけ眼で眺めていた。


『そうそう、えーと、コウくん?やっけ?』
「!はい」
『トントンさんから話きとるよ、外国の人なんやってな?迷子になるって大変やったろ』
「……?」
『良かったら色々俺に頼ってな!何でも答えるで。』
「……えっと、」


 トントンさんの名前が出てきたことしか分からなかったが、取り敢えず曖昧に微笑んでおいた。

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ニノ(プロフ) - みずきさん» コメント有難う御座います。実は第七話にてエイリアンネタを入れるつもりでしたが、没となりました。勿体無くて消せておりません。面白いと言って頂けて嬉しいです、そして応援ありがとう御座います!多忙の身故、細々とですが続けさせて頂きたく思います。 (2022年10月8日 23時) (レス) id: 36c64675ec (このIDを非表示/違反報告)
みずき - わぁ、夢主くんがエイリアン?なの初めて見ました!めちゃくちゃおもろいです!応援しとります!頑張ってください! (2022年10月7日 20時) (レス) @page35 id: 129e1b5429 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ニノ | 作成日時:2022年9月14日 1時

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