第四十話 ページ41
そういうことなら大歓迎だ、僕としても僕の言語を知っているのがただ自分1人だけというのは何とも心細い。
エーミールさんに、此処で待ってて、とジェスチャーしてから慌てて部屋に飛び込んだ。
一瞬探してしまってから、ドレッサーの前に置かれた黒革の手帳を手に取る。
大股で入口に戻り、はい、とエーミールさんに手帳を手渡した。
『……え、ええと…？』
あ、しまった、戸惑った顔してる。そりゃそうだよね、急にやられても困るだろう。
僕は慌てて、絵本を片脇に挟みながら手帳の留め具をぱちんと外す。昨日書いたページを開き、それを見せると、彼は目を丸くした。
『！これ、こんな…君の言語か？』
「これお貸しします！…あんまり読めないと思うけど…」
慣れない羽根ペンで書いたものだから、字はお世辞にも綺麗とは言えない。けど読めはする筈だ。
勢い込んでまた手帳を差し出したら、今度は受け取ってくれた。
『ありがとう、使わせてもらうわ。』
にこり、とエーミールさんが微笑む。ぺこりと頭を下げると、彼は軽く片手を上げて廊下の向こうへ行ってしまった。
翻訳とかいろんなことが頭からすっぽ抜けていた僕は意気揚々とベッドに向かい、その事について思い当たり。そしてベッドの上で勢いで行動したことを後悔した。
「勢いで渡しちゃったけど、大丈夫かな…」
…うん、大丈夫だと信じよう。エーミールさんは大人だもの。あとなんか頭良さそうだし。
エーミールさん=先生、のイメージがすっかり定着した僕は、そういえば先生ってこちらの言葉だとなんて書くんだろうかとひとり首を傾げる。
“エーミール”“
「…えー、みー、る。…こ、ねしま、ぐるさん、とんとん…」
しゃおろん、しょっぴくん、だいせんせい。あとろぼろ。あと、みど、みどり…みどり、の、ひと。」
…こうして見ると多いなあ。昨日今日会っただけで12人はいる。
メイドさんはともかく、他の人はみんな屈強そうだった。やっぱり此処は軍基地で間違いなさそうだ。
あんなに癖が強い軍人さんなんて、見たことないけど。
今日の昼の食堂の賑やかさを思い出して、思わずふふっと笑う。
疲れてきた右腕を下ろして、そのまま目を閉じたら、意思に反して意識は泥の底へ落ちていった。
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ニノ(プロフ) - みずきさん» コメント有難う御座います。実は第七話にてエイリアンネタを入れるつもりでしたが、没となりました。勿体無くて消せておりません。面白いと言って頂けて嬉しいです、そして応援ありがとう御座います！多忙の身故、細々とですが続けさせて頂きたく思います。 (2022年10月8日 23時) (
レス) id: 36c64675ec (このIDを非表示/違反報告)
みずき - わぁ、夢主くんがエイリアン？なの初めて見ました！めちゃくちゃおもろいです！応援しとります！頑張ってください！ (2022年10月7日 20時) (レス) @page35 id: 129e1b5429 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ニノ | 作成日時：2022年9月14日 1時
