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第二話 ページ3

『お、トントン』

 反射的に顔を上げると、夏の木の葉の色によく似た色彩のパーカーを着ている人がすぐ先に立っていた。
 明るめの茶色の髪は長くて、そしてフードを深く被っているから、顔はよく見えない。けれどその口元は何も覆っておらず、喋る度にちらりとギザギザに尖った歯が見えた。

 緑の人は僕を見るなり、影に隠れた顔を顰めて怪訝そうな声で喋り出す。

『…?な、何や、その子?』
『侵入者…らしいねんけど、わからん。外の森で迷っとった。』
『は?あそこ、ば、バリア張ってて、一般人は入れんくなっとるやんけ』
『おう。けどカメラんとこで無防備に寝こけとったわ』
『はぇ〜〜〜舐めプでは??』
『いやそうとも限らんで。とにかく、応接間まで連れてくわ』
『ん、わ、わかった。』

 豚さんが歩き出して、慌ててその後をついていく。
 顔を伏せて目を合わせないようにしていたけど、にゅっ、と急に視界に生えてきて思わず後退りをした。

 僕の顔を覗き込むその色は、鋭い、警戒心と、嘲り?憐れみ?の混じった、緑の目。宝石みたいに透き通って綺麗な、けど、怖い。

 そのまま何事か話しかけてきたけど、此方も相変わらず何を話しているのか分からず。困っていたらやがて肩を竦め、何処かへ行ってしまった。
 なんだったんだ、と去っていくその背中を呆然と見つめていると、不機嫌そうな声をかけられて慌てて踵を返す。

 今はとにかく、豚さんについていこう。そんで逆らわないようにしよう。

 また祈りながら歩き続け、断頭台へ連れて行かれる囚人のような心地の中。やがて目的地に到着したらしい、豚さんはやっと立ち止まって重厚そうな扉の金の取っ手を掴み、奥に押し込んで開いた。
 今度は誰にも会わなかったことに胸を撫で下ろしていると、豚さんはまた僕に向かって何事か喋った。喋りながら赤い革張りのソファを差していて、恐る恐るそこに腰掛ける。
 彼はそれを確認して頷くと、今度はびっと人差し指で僕の足元を示してから何処かへ行ってしまった。

 …偉い人でも連れてくるのかな?お叱りのために…どうか無事に終わります様に。

 そう考えながらソワソワ待っていて、はた、と思い出す。

 ……あれ、そもそも、ここどこだっけ?

 僕はいつもの場所で寝ていたら、知らない場所で目が覚めた。
 持ち物はスマホと財布と生徒証、あとは着ている服たちだけ。

 …取り敢えず今は考えないことにして、汚れた眼鏡をシャツの裾で拭いた。

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ニノ(プロフ) - みずきさん» コメント有難う御座います。実は第七話にてエイリアンネタを入れるつもりでしたが、没となりました。勿体無くて消せておりません。面白いと言って頂けて嬉しいです、そして応援ありがとう御座います!多忙の身故、細々とですが続けさせて頂きたく思います。 (2022年10月8日 23時) (レス) id: 36c64675ec (このIDを非表示/違反報告)
みずき - わぁ、夢主くんがエイリアン?なの初めて見ました!めちゃくちゃおもろいです!応援しとります!頑張ってください! (2022年10月7日 20時) (レス) @page35 id: 129e1b5429 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ニノ | 作成日時:2022年9月14日 1時

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