拾われました。 (ページ2)

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「それって、君の親御さん？」

なるべく人には迷惑をかけたくないのに

『違うよ。ルームメイト』

ルームメイト？寮とかってことか？

『ラウ！』

『ほら、すぐに来た。近所でしょ？』

誰かも分からない。ただスーツを着ている男に声をかけ、どうにかしてくれようとしてる

その気持ちだけでも俺は嬉しかった。

男の子が呼んだ成人しているという彼は、こちらへ駆け寄ってきた。

俺に目線を合わせるなり、俺の手に触れた。

『長い間雨に打たれてたみたいですね。手がすごく冷たい、立てますか？』

なんで見ず知らずの相手をこんなにも助けてくれようとしてくれるのか

その心の温かさに、止まりかけていた涙がまた流れ出す。

『この傘お兄さんのだよね？』

俺の手元にあった開きっぱなしの傘を掴んで、未成年の彼はそう聞いてきた。

それに頷けば、その傘を閉じて、持ってくれた。

後から来た彼におぶられて、すぐ目の前の建物へ入って行く。