日本のバレー ページ20
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自覚してから、遥たちにからかわれるようになった。
LINEでも電話でも。
いつどこで何をしていてもその話になる。
「Aの鈍さにはびっくりする」って。
…そんなに鈍いかな?
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そして今日、男子のW杯が終わった。
最終戦の対カナダではスタメンをガラッと変え、石川くんや有志は途中出場。
最後は、有志の連続サービスエースで終わった。
西田有志。彼は本当にすごい。
これからもっともっと成長していくだろうし、日本の未来を背負うだろう。
このW杯で大きな爪痕を残した彼らは、これからそれぞれの道を歩む。
…もう、この全員で、このメンバーで戦うことはないかもしれないのだ。
「もしもし…?」
石川「ごめんAさん。起きてた?」
「…寝てた」
石川「ほんとごめん」
夜中の一時頃、電話をかけてきたのは石川くんだった。
今日、死ぬ気で仕事を終わらせてきた私は、ビール片手に試合を見て、いつものように分析をして、最後の仕事を終わらせた。
…総合マネージャーとしての。
私が総合マネージャーになってからの分の仕事を他の人がしてくれていたから、そのツケが回ってきた。
だから今、仕事が死ぬほど忙しい。
ジムのインストラクターは体力が重要だから。
しかもありがたいことに、私をご指名してくれる方が多いのだ。
…嬉しいけど、大変よ。
「どうしたの?」
石川「…ありがとう、いままで」
「ああ、全然!仕事ですから」
石川「…やっぱさ、イタリア来ない?」
「…はー?」
石川「俺たちのチームならAさんのこと、いらないとか絶対言わないし!」
石川くんが早口で言う。
この前お断りしたはずなんだけどって言ったら、それでもって粘る。
…困ったな。
「だめ、行かない」
石川「…なんで?海外だから?」
「うーん、それもあるけど」
石川「じゃあ、なに?」
「…日本のバレーが好きだからかな」
石川「…」
うん、そうだ。
私は日本のバレーが好きだ。
人種的にどうしても身長が劣る日本が、繋いで繋いで、アタッカーに一点を託す。
ほかの国がしてないってわけじゃない。
最後まで諦めずにボールを取りに行く国もある。
だけど、彼らは身長があるからそれに頼ってしまう。
そりゃあ、長身から打たれる鋭角なパワーサーブだけで点数が取れるなら楽でいい。
サーブも大きな武器になる。
だけど、一人で決めてしまったら、バレーの面白味がなくなってしまう。
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なほ - 次は山内さんの待ってます☺️ (10月10日 22時) (レス) @page37 id: 2f4a7dab68 (このIDを非表示/違反報告)
RIO - 好きすぎて何度も読ませてもらっています(笑)マジで、え、花さん神?って思いました(笑) (2021年9月24日 0時) (レス) @page36 id: 759836d8d0 (このIDを非表示/違反報告)
ユキト(プロフ) - めちゃくちゃキュンキュンしました。大好きです(笑) (2021年5月6日 3時) (レス) id: 08a263e11b (このIDを非表示/違反報告)
花(プロフ) - inu1elenaakさん» はい!お楽しみに〜!!! (2019年12月18日 20時) (レス) id: a7ed6a47fc (このIDを非表示/違反報告)
inu1elenaak(プロフ) - スピンオフも楽しみにしております。 (2019年12月17日 19時) (レス) id: 9a39b8e204 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:花 | 作成日時:2019年11月13日 21時