【赤羽業】ご主人様とイヌ 3

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「筆箱？」


『はいっ。えっと、真っ白のシンプルなやつなんですけど見てませんか？』


「うーん。今日は届いて無いわね」


『分かりました』





職員室の入り口付近で丁度先生を発見して、声を掛けた


ペンケースの見た目の説明をしたけど、似たような物は届けられて無いらしい


ぺこり、と一礼をして私達は玄関に向かった





『何でどこにも無いんだろ〜』


「職員室にも無いとなるといよいよ奇妙だな」


『誰かが持ち帰ったんですかね？その人も筆箱を持ってくるの忘れてて、丁度落ちてたから借りたとか？』


「さすが馬鹿の考える事は違うな」


『なっ！もしもの話ですよっ！』





探せる所は探し尽くして、他に検討が付かなかった


たかがペンケースの為に遅くまで浅野くんに付き合って貰うのも悪いし、とりあえず靴箱に中靴と外靴を入れ替える


ローファーを下に落として、爪先を入れてトントンと地面に叩く


私は陳列された箱の間を通って、外に出た





「おい、A。ちょっと戻って来い」





学校の中から浅野くんに呼び戻された


……せっかく履き替えたのに何だよ！


仕方が無いのでローファーを脱いで、浅野くんの元に駆け寄る


彼はゴミ箱の前に立っていた





『どうしたんですか？』


「この白い筆箱、お前の言っていたやつじゃないか？」


『え！？！』





中を覗くと、正しくそれは私のペンケースだった





『何でこんな所に……』


「君がやったのか？」


『違いますよ！いくら馬鹿でもこんなことしません！』


「だったら他人がやったとしか思えないな」


『何それ気持ち悪い』





私の知らない人が私の知らない所で筆箱を盗んで、ご丁寧に捨てたと言う事だろうか


何の嫌がらせだよ





そう考えていると、ある一つの事に結び付いた





【コレイジョウ、イヤガラセヲサレタクナケレバ、カレカラテヲヒケ】





あぁ、十さんだ


これをやったのは彼女だ





もうそれ以外に考えられない





「心当たりはあるのか？」


『はい！これは怪奇現象ですよ浅野くん！』


「は？」


『髪の長い女の仕業に違いありません！私の事恨んでるんです！』


「君は何をとぼけているんだ」


『いや、そうじゃなくって……！』





私は今まで送り付けられたメモを彼に見せた


それはシワシワの古紙に赤い字で全てカタカナで書かれていて、まるで呪いの書である





「何故それをもっと早く言わない」


彼は少し苛立っていた

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