【赤羽業】ご主人様とイヌ 3

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さてと、そろそろ教室に戻らねば……


筆箱と配布された資料を胸に抱えて会議室を出ようとすると、後ろで浅野くんが何か言っていて足を止めた





「先程散々君の事を馬鹿だと罵ったが、A相手に小細工が通用すると思っていた僕が一番、愚かだったかも知れないな」





私の目線の先にいる彼は考える素振りをしていた





『小細工って何の話ですか……？』


「君に冷酷になれとアドバイスをしただろう」





……あー。今朝のやつか





「あれは君の為を装って、実際は自分自身の事しか考えていなかったんだ。騙してすまない」





彼はそう言って手の内を明かしている


これは本心で言っている証拠だ





私と赤羽くんの距離が広がる事が僕得でもある、って言ってたもんね


相変わらずその真意は分からないけど……





けどね、浅野くんが考えてくれる事って、何だかんだ言っていつも私の為になっているんだよ


例で言うと、保健室に匿ってくれた事とかね！


あれは本当に助かった！





『私はそれを聞いても小細工だなんて思えないですよ』


「狡い事を考えていた僕を咎めないのか？」


『はい！』





私には浅野くんを咎める理由が無いもん


なんて言うか、浅野くんの考える事にはいつも優しさがあるんだよね


何処かで私の事を思ってくれているのに、そんな小細工だなんて悪い言い方になっちゃうだけで……





『本当は一番に私の事を考えてくれているのが分かります！』





真顔でそう言うと、彼は目を見開いた後、額に手を置いて君には参ったとでも言うような顔をした


愛おしい者を見つめるような顔付きをした彼は小さい声で私に呟いた





「君は僕を夢中にさせるのが上手いらしい。ますますAに興味が湧いたよ」





そう言った彼にドキッと少し胸が高鳴った


彼は甘い言葉を使う事に長けている





……どうしてそんな台詞が次から次へと出てくるんだ


こんなの言われちゃ、そりゃ十さんも好きになるよ


なんか十さんじゃ無くって、浅野くんに責任がある気がしてきた





『あんまりそんな事言わない方が良いと思いますけど……』


「あぁ。君には遠回しの言葉は伝わらなかったな」


『いやいや、私だけにじゃ無くって。今全国の女の子を背負って言ってます』


「だったら、直球で言おうか？くどい事は辞めて、全面的に行動に示したらさすがの君でも分かるだろう？」


『は？何言って……「A、僕と付き合え」

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