玖拾玖 ページ4
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" いづれの御時にか、女御、更衣あまた候ひ給ひける中に、いとやむごとなき際にはあらぬが、すぐれて時めき給ふありけり。"
イリーナが調査に向かう最中、超生物の
彼らの板書には源氏物語の桐壺の更衣が並べられており、後ろの方に座る華ノ衣もペンを握って端正な文字で書きなぞらえているものの、彼女には取り分け気だるさがのしかかっていた。
「それでは順番に読んでいって下さい」
彼がそう指示を出すと生徒達は席順に起立をしながらそこまでで結構です、と担任に言われる所まで読んでいっており、誰しもがそれに従っていた。
朗読を終えた奥田が椅子に座った所で、クラスの視線は次の番である華ノ衣に向いていた。
中々立ち上がらない後ろの席の人間を不審に思った奥田は、声を掛けようと振り返れば、彼女はうつらうつら、と瞼を伏せる寸前であって、そんな姿ですら美しく思えた。
「あ、あの華ノ衣さん」
眼鏡の少女のか細い声では、
必死に声を掛けている奥田を無視しているような態度に腹を立たせて、隣の彼が机を叩く。
「ねぇ、優等生が呑気に昼寝？」
『……貴方、急に何をするの』
「あんたに順番回って来てんの。さっさと読んでよ。授業止まってるから」
『あぁ。悪いわね。あまりにもつまらなくて寝る暇があったわ』
彼女はそう言って先生、と片手を靱やかに挙げた。
「華ノ衣さん何でしょう」
『立つ事が億劫なの。読んであげても良いから座ったままでも良いでしょう？』
「分かりました」
担任が問題児の愚行を認めたもので、教室に何故彼女がそれを許されるのか、と騒めきが起こった。
" はじめより我はと思ひ上がり給へる御方方、めざましきものにおとしめ嫉み給ふ。同じほど、それより下臈の更衣たちは、まして安からず。"
── 当初から、自分こそは帝の寵愛を受けると自負していらっしゃる方々は、寵愛を受けていた女性を気に食わない者としてさげすみ、ねたみなさいます。
華ノ衣が着席をしたまま原文を詰まらずに読んでいる様子を、彼は横からただ見詰めていた。
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ハバネロ(プロフ) - うさぎさん» 私も好きです！！(*´-`*) 練りに練ってめちゃくちゃ頭使っている小説なので、褒めて貰えてお涙チョチョギレです！どうぞ最後まで楽しんで行って下さいませ。 (2020年4月3日 0時) (
レス) id: acb4ef891f (このIDを非表示/違反報告)
うさぎ - 好きです！！！！！最近のお話はますますおもしろくなってきて、更新が凄く楽しみです。これからも応援しています！ (2020年4月2日 23時) (レス) id: d0074b3142 (このIDを非表示/違反報告)
ハバネロ(プロフ) - 偽善少女さん» コメントありがとうございます！^^ いよいよこのお話も佳境に入って来ました！最後まで見届けて頂けるととても嬉しいです！ (2020年3月25日 0時) (レス) id: acb4ef891f (このIDを非表示/違反報告)
偽善少女(プロフ) - すごく面白いです！！次のお話が楽しみです！頑張ってください！ (2020年3月24日 3時) (レス) id: 04840ecaec (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ハバネロ | 作成日時：2020年2月4日 19時
