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「ねぇねぇ業くんっ」
それは移動教室での帰りのことである
赤羽くんに擦り寄る伊久留ちゃんを、私は後ろから見ていた
彼女は彼の腕に自分の腕を絡ませて歩く
今日は朝からずっと赤羽くんに引っ付いて回って何なの
伊久留ちゃん、それはアピールにも程があるよ
はっきり言って、私見てて良い気がしない
「あんた何なの」
ほら、赤羽くんだって同じ事思ってるよ
諦めた方が良いよ
モヤモヤした気持ちで、組まれたままの腕を凝視する
「えへへ。やっと返事してくれたぁ〜。ねぇねぇわたし達、腕組みしてるから凄く注目されてるねぇ恥ずかしいっ」
「それなら辞めればいいじゃん」
「やだぁ。業くんと噂されるなら本望だもんっ!」
「あー、面倒臭い」
彼はそう言って溜息を付いているが……
赤羽くんも、だったらどうして伊久留ちゃんの手を離さないの?
面倒臭いって思うなら、相手にしなきゃいいのに
どんどん自分の中にそんな黒い感情が湧いてくる
「おーい、Aさーん?」
隣を歩く莉桜の声がする
彼女に呼び止められて、私は我に返った
いけないいけない。こんなの私らしくないよね
いつもみたいに笑顔にならなきゃ……
『あ"ぁ?』
「こっわ。あんた目でかいんだから、そんな顔したら目力凄いことになるの知ってる?」
『舐めてんのかコラ?』
「何でそうなるのさ。あ、髪の毛にゴミ付いてる。取ろうか?」
『夜露死苦!』
「もう完全にヤンキーのそれじゃん」
屈んで頭を差し出すとスパァンとそれを叩かれた
『イタァ!何するの!!ゴミは!?』
「そんなの付いてないよ。顔面凶器だったから正気戻して貰おうと思って」
『え、あ。私そんな酷い顔してた?』
「うん。鬼の形相だった」
『まじか』
そうだったんだ……
莉桜が言うなんて相当なんだろうな
気を付けなきゃ
*
その日の放課後になった
今日は生徒会の集まりがある
だから、赤羽くんと前みたいに一緒に帰れないのでそれを伝えようとしているんだけど……
『あ、あの』
「業くーん。一緒に帰ろぉ〜」
「綾瀬さんしつこい」
『あの、ご主人さm……「どうしてぇ〜。前は一緒に帰ってくれたのにぃ」
「は?あれは勝手に着いてきただけでしょ」
『あの私今日生徒会の集まりがあって……』
「Aちょっと黙って」
赤羽くんは何故か私の話だけ聞いてくれない
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ハバネロ(プロフ) - 咲来(名前)さん» コメントありがとうございます!(*´ ∨`)とにかく明るくて、馬鹿っぽい女の子を書きたかったのでそのように言って貰えて良かったです!現在パート3まで出ているので是非そちらも読んでみて下さいね^^ (2019年6月18日 22時) (レス) id: acb4ef891f (このIDを非表示/違反報告)
咲来(名前)(プロフ) - 主人公がとってもおもしろいくて、私大好きです、もちろんカルマ君も大好きです、これからも応援してます! (2019年6月18日 13時) (レス) id: aedff0aee4 (このIDを非表示/違反報告)
鶴 - あんな、ケンカを売るような言い方でしたのに、許して頂いてありがとうございます。 これからも、この小説を楽しみにさせていただきます (2019年5月27日 8時) (レス) id: 0753bc1767 (このIDを非表示/違反報告)
ハバネロ(プロフ) - 鶴さん» いえいえ大丈夫です(*´-`*)この件に関して鶴さんが責任を追う必要はございませんのでご安心下さい。今後このような事態を起こさない為にもしっかり対応の方をさせて頂きますので、いつも通り作品を楽しんで下されは幸いです(*´ ∨`) (2019年5月26日 18時) (レス) id: acb4ef891f (このIDを非表示/違反報告)
鶴 - 作者様私のコメントも不快でしたり、誤解を招く可能性がありました不快にさせてしまいましたら大変申し訳ありません (2019年5月26日 13時) (レス) id: 0753bc1767 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ハバネロ | 作成日時:2019年5月17日 1時