音柱の恋愛事情【宇髄天元】

拾漆 ページ18

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「髪飾り、ありがとうございます！」



町からの帰り道。Aが髪飾りをつけて嬉しそうに微笑んだ。
Aの表情筋、どっかの誰かさんに分けてあげればいいのになぁ。



「私、町とか行ったこと無かったので楽しかったです！」


「行ったことねぇのか？」


「はい。鬼殺隊に入る前は、家から出して貰えなかったんです」



出して貰えないって、どんな家なんだ。派手に聞きたいが、ふれては行けないような…。そんな感じだ。



「不思議ですよね。親も妹も外出してるのに、私だけなんで…って思ったんです」


「妹…？」


「はい、妹です。私が外出禁止なのは、外に鬼がいるから。稀血だから出させて貰えなかった」



Aは稀血だと胡蝶も言っていた気がする。鬼に狙われるから外出禁止だったのか。
だが、妹や両親は普通に外出し、鬼に殺されたらしい。



「だから町に連れてきてくれてありがとうございます！」


「そんなの、派手にいつでも連れてきてやるよ！」


「！や、った」



胸の前で拳をつくって喜ぶA。その喜び方はなんだか、子犬のようで。尻尾を振っている様子が目に浮かんだ。

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