time sharing house～日常茶飯事～ (ページ41)

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　「ありがと、大ちゃん。助かった」

　「もとはと言えば遅れた俺が悪いんだけどね」

　俺が時間通り到着していれば、ちゃんも絡まれることなかったと思えば悔しい。
以前も似たような感じで、面倒な男に絡まれているちゃんを助けたことがあって。
あのときは偶然通りかかっただけだったけど、その場に出くわした俺偉い！って自画自賛したもんね。

　そのときの男も相当しつこかったみたいで、助けた後のちゃんはぐったりしちゃってたくらい。
聞けば、それなりの頻度で同じような――いわゆるナンパが続いているみたいで。

　俺男なのに、とうんざりため息を零すのを見て気に掛けていないとダメだって思ったんだよね。

　で、このことはハウスのみんなで共有しておくべきだと思って。
ちゃんが居ない間に、それとなく伝えてはおいた。
中学生の山田と知念には、黙ったままだけど。
裕翔とか圭人なら俺よりも背が高いし、制服じゃなければ大学生でも通りそうだから。
大人組には当然、でも生活範囲と時間が重ならないから―――
一番一致する俺に、重大な役目が下ったわけだけど。

　それを遂行できていない上に、自分が原因でこんな目に遭わせるなんて。
申し訳がなさすぎる。

　「いいよ、気にしないで。でも・・・お昼は大ちゃんの奢りね？」

　「それはもちろん！」

　あの男はちゃんが大学内で用事を済ませているときから、纏わりついていたみたいで。
俺が遅れたせいじゃないから、ってフォローしてくれる。
それでも悪いって思ってしまう俺に気付いたちゃんは、茶目っ気たっぷりに奢りを提案してきて。

　そんなものくらい、いくらでも奢りますよ。
俺はバイトもしているからね。

　こっちだよ、と道を示して歩き出したちゃんの後を追い掛けた。