time sharing house～日常茶飯事～ (ページ24)

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　「山田、考え事してると火傷するぞ」

　リビングで雄也と戯れている侑李を、キッチンで光くんの手伝いをしながら眺める。
物思いに耽り過ぎて、手元が疎かになっていたみたい。
ここのキッチンはガスコンロじゃなくてＩＨだけど、熱されたフライパンは充分に火傷する恐れがある。

　「知念が気になるならリビング行くか？」

　「・・・ううん、いい」

　俺が侑李とここへ住んでいる理由は、侑李の新生活をサポートするため。
新しい環境へ慣れるため、未知の領域へ踏み出す侑李の背を押すため。

　決して、俺が侑李を自分の元へ引き留めるためじゃない。

　侑李が積極的に俺以外の誰かと交流するのを邪魔する権利は、俺にはないんだ。

　「あんまり無理するなよ」

　特別詳しいことは話していないのに、光くんはよくここの住人を見ていて。
多く口出しするわけじゃないけど、やさしく見守ってくれている。
そのスタンスに、俺はすごく救われているんだ。

　「ありがと、光くん」

　気恥ずかしいから顔を見て言うことはできないけど。
ぽつんと零すように言えば、軽く背を叩かれる。

　そうこうしながら調理を進めていれば。
まだ？とキッチンを覗きに来た侑李に、もうすぐできるよと笑い掛けて。

　６人分の昼食を作るのに集中した。