time sharing house～日常茶飯事～ (ページ23)

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　それでも俺は侑李より周囲と関わることはあって、そうした中でも侑李のことが好きになった。
だからこの感情が一時的な過ちではないと信じているし、堂々と正しいって宣言できる。

　でもね、俺以外と関わることがなかった侑李は。
俺にそういう想いを向けられていたから報いるように向けてくれたのではないか、なんて思ってしまう部分もあって。
こうしてこのシェアハウスに来て、信用できる人が増えて。
新しい環境で始めた学校生活も、楽しそうに過ごしている。

　他人との関りが増えると、俺以外へ向ける顔も増えていって。
ひとつしか知らなかったことが、ふたつみっつと増えていけば―――
きっと、想いだって変わってしまう可能性もある。

　俺は侑李を縛りたくないから、そうなったときのためになにも言わない。
侑李はやさしいから、絶対俺を気にしてほんとうのことを口にしなくなってしまう。
それだけは、避けたいから。

　なんて、さ。
カッコつけて偉そうに言っているけど、ただ臆病なだけだ。
本気で侑李が離れてしまうってなったとき、俺はちゃんと手を離してあげられるのか自信がない。

　真実の想いを伝えてさえいなければ、思い違いって笑い飛ばせるから。

　だから、曖昧なまま放置している。

　弱い俺の、ズレた覚悟の仕方。