episode.114 ページ12
◇貴方side
「……わ、私も、その……えぇと……あ、おんなじ、かなぁ、と……気持ちが、赤井さんと……」
目は泳ぎつつ、喉から精一杯絞り出した言葉。と言っても曖昧すぎてアホすぎる言葉だったけど。
声は小さくなったけど、けどちゃんと彼にはきちんと届いていた。
すぐに彼の逞しい腕に包まれた。
「あっ、赤井さん！？」
赤井「A……」
「は、はい」
赤井「A……」
「っ！？」
赤井「俺は夢を見てるのかもしれない」
「っ！！」
赤井「ありがとう」
私も、夢を見てるみたいで。
さっき自分で言ったことが今更恥ずかしくなってきた。
赤面していた顔を隠したかったのに抱き締められていた腕が緩んで、彼と顔を合わせた。
赤井「ははっ、真っ赤だな」
だいぶ恥ずかしいこと言っちゃったんだから、ちょっとそっとしてくれませんか。でも見逃してくれないらしい、いきなり唇を奪ってきたのだ。
「うわっ！？」
いきなりの浮遊感。ビックリして彼の肩に掴まると、膝裏を支えられ持ち上げられたんだと気付いた。
「ちよっ、赤井さん！？」
赤井「あぁすまない、嬉しくてつい」
「お、降ろしてください！重いでしょ！？」
赤井「そんな事ない。というより軽すぎだ、もっと食べた方がいい」
「ちゃ、ちゃんと食べてます！」
赤井「本当か？」
「ちょ、顔ｯ顔近いｯ！！」
赤井「別にいいだろう？もう恋人同士なんだ」
「なｯ！！」
赤井「嫌か？」
「い……嫌じゃ、ない、です……」
赤井「ククッ」
「……っふふ、あははっ」
なんか、今までのことが馬鹿らしくなってきてしまって。
二人、顔を合わせて笑い合った。
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作者名：ゆな
| 作成日時：2019年11月18日 11時
