【stpr】彦星の裏切り 【赤】

２９話 【彼の家】 ページ31

ガチャ…




莉犬くん「はい上がって〜」




『ありがとう、お邪魔します』




莉犬くんが開けてくれた扉から家に上がる




洗面所を借りてから、リビングのテーブルの前に座って後ろのソファーに背中を預けた




側に置いていた鞄から仕事道具を取り出す




スケッチブック、手帳、鉛筆と色鉛筆と消しゴム、定規その他諸々




テーブルの上に広げていると、莉犬くんが洗面所から帰ってきた




『おかえり、テーブル借りるね』




莉犬くん「うん、頑張って」




『ありがとう』と言うと、莉犬くんはキッチンの方に行った




さぁて、お仕事だっ…！




まずはメンバーのデフォルメデザインから…





簡単に三等分になるように線を引いた紙を２枚、大人組と子供組別で描く




カキカキ…




カキカキ…





コトンッ…




『……？』




莉犬くん「差し入れ、俺ソファーで静かにしてるから何かあったら言って？」




テーブルに急に置かれたのはレモンソーダだった




『ありがとう！凄い美味しそう』




私はコップを口に運びながら言う





莉犬くん「ソーダにレモン入れただけだよ？」





『ゴクッ…それでも美味しい、お仕事頑張るね』




ソファーに座る莉犬くんに微笑みお仕事を再開した




ーーーーー
カキカキ…




カキカキ…




ふぅ…




半分は終わった…！




ちょっとお手洗い行こ…





そう思い立ち上がって気付いた




『あれ…？』




莉犬くんが居ない




いつの間にか部屋に戻ってたのかな…？




私はお手洗いに向う廊下の途中で、莉犬くんの部屋の前を通った




莉犬くん「も…いらな…っ…！」




『…!!』




部屋の前で足が止まる




部屋の中から聞こえてきた莉犬くんの怒ったような声




電話してる声…？




莉犬くん「……は、ずっ…俺…側…居る…！」




掠れていて言葉が聞き取れない





いや…待って…話してる言葉より…




話してる相手の方が大事じゃない…？




るぅとくんが言ったことが本当なら…




電話の相手は…女…？




私は怖くなってお手洗いに駆け込んだ




ーーーーー
パチッ…




電気を消しながらお手洗いから出る





やっぱり勘違いじゃないの…？




分かんなくなってきた…！




ガチャ…




『…!!』




私がリビングに戻ろうとすると、丁度良く莉犬くんも部屋から出てきた




莉犬くんは私に気付くとすぐに笑顔になった




莉犬くん「お仕事順調？」




この笑顔も嘘なのかな…

３０話 【8月2日】→←２８話 【不安】

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