【stpr】彦星の裏切り 【赤】

１５話 【相棒】 ページ16

あれから一週間程経った…




仕事が全く手につかない…




リビングでペン片手に無地の紙を見つめている




企画やデザインなんて浮かばない




あかねが何度か仕事を変わってくれたりしたけど、勿論ずっとお願いするわけにはいかない




全部、全部全部…莉犬くんのせい…




でも私も馬鹿だな…




未だに心の何処かで"気のせい"とか"勘違い"っていうか考えが浮かぶ




『はぁ…』




コロコロ…




ため息と共にペンが落ちた




床に落ちたペンを拾ってテーブルに視線を戻すと、端に置いてあるスマホが目に入る




もういっそ、拒絶された方が幸せかも…




私は意を決してスマホを取り電話をかける




どうか、こんな気持ちでかける莉犬くんへの電話は、これで終わりますように…




何回もコール音が鳴る、もしかして無視？




諦めて耳からスマホを外そうとした瞬間、電話に出る音が聞こえてその行動をやめた




さぁ…潔くフラレよう…




私が彼の名前を呼ぼうとした瞬間、あっちから声が聞こえてきた




「もしもし？Aちゃん？」




えっ…？




この声は…




『る…るぅとくん？』




るぅとくん「うん、久しぶり〜！」




るぅとくん、莉犬くんの相棒でとても仲が良いすとぷりのメンバーの一人だ




私達の事も応援してくれていて、私にも優しくしてくれるとっても良い人




『どうしてるぅとくんが…？』




るぅとくん「あぁ、今莉犬レコーディングしてるんだ、だから代わりに、Aちゃんからの連絡は重要かな？って思って」




るぅとくんの声で心が安心する




その優しさに甘えたくなる…




でも駄目…




『そうだったんだっ…ごめんねるぅとくんっ…ありがとうっ…』




そう言って切ろうとすると「待って！」と声が聞こえてきた




るぅとくん「泣いてる？」




『えっ？』




『そんなはず…』と頬を触ると指先が濡れた




るぅとくん「僕のスマホにかけ直して、このままは話せないから」




『でも…！』




るぅとくん「大丈夫、話くらいなら聞けるから…もっと僕の事頼って？」




…!!




『ありがとう…かけ直す…』




そう言って電話を切り、下の方にあるるぅとくんの連絡先を選択する




こうやって電話するのは何年ぶりだろ？




去年に一回会ったきりで全く声を聞いていなかったから、嬉しさと安心で涙が出てしまった




けどコール音を聞いて思った




るぅとくんに…莉犬くんの事を話していいのかと…

１６話 【差し伸べてくれた手】→←１４話 【絶望】

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