■ ページ46
「そのまま、そこいろよ！」
Aが頷いたかどうかは分からない
図書室を飛び出し、Aのところまで走る。疲れているはずなのに、縺れることなく、彼の足は動いた
・
「っ、ぜぇっ……はぁっ」
逢沢にとって、そこは初めて来る場所だった
腰を曲げて膝に両手をつきながら肩を上下させて息を整えている彼を、Aはきょとんとしながら見つめた
美術部、映画研究会。運動といえば体育しか機会のない逢沢に、体力なんてものが存在するのか
(きっつ………)
己の体力のなさを呪う
ふぅ、と最後に一息吐いた逢沢は、額の汗を拭きながらしゃがみこんでいるAに目線を移した
ぱちりと目が合い、思わずビクッとする逢沢とは反対に、Aは何も反応せずにすっと目を逸らしてしまう
「蒼井」
「みゃあ」
そう逢沢が呼んだ時、彼女の足元から、茶色のふわふわとした固まり………子猫、が顔を出したのだ
「ね、こ……」
「うん」
子猫が怖がらないようにと、ゆっくり、静かにAに近づく逢沢
「なんでこんなところに」
「………わかんない」
そう言いながら子猫を優しく撫でるA
どこか翳りのある横顔。いつも人形のように澄ました顔が、少し緩んでいるのがわかる
・
わかりずらいようで、わかりやすい
彼女の表情の変化は、見ていて飽きない
・
その様子を見ながら、逢沢は心の中でビデオカメラを持ってくればよかったと後悔したと同時に、今彼女と2人きり(プラス1匹)だということを無性に誰かに自慢したくなった
みゃ、と鳴きながら逢沢の足に擦り寄ってきた子猫
Aの視線が足元に注がれていることに気がついた逢沢は、目線を下に移し、あ。と小さく声を漏らした
(履き替えるの忘れてた……)
そして、気がつく
Aも同じように内履きのまま外にいるということを
「なんで蒼井は、ここに？」
「………」
「なんで、履き替えてないんだよ」
「逢沢くんも一緒」
う、と誤魔化すよう足を後ろに下げる
すぐ傍にほおっておいた鞄の柄を掴んだAは立ち上がり、スカートを叩きながら口を開いた
「靴、あった？」
誰の、とは言っていない
脳内で勝手にAのと変換した逢沢は、こくりと頷く
そっか、と呟きながら、彼女は逢沢の横を通り過ぎる
ふわりと、甘い香りがした気がした
「履き替えるの、忘れてた」
子猫が欠伸を零した時
本来の目的を思い出した逢沢は、頭を抱えた
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ミア(プロフ) - あんず飴さん» うわああめちゃくちゃ返信遅くなってしまったほんっっっとに申し訳ないです！！！コメントありがとうございます！！！！ (2019年8月31日 20時) (
レス) id: 8a7216d57f (このIDを非表示/違反報告)
あんず飴 - 柊先生落ちがいいです！！ (2019年4月21日 18時) (レス) id: e9a1259486 (このIDを非表示/違反報告)
ミア(プロフ) - イツカさん» コメントありがとうございます！何気に柊先生リクエストは初めでです笑更新頑張ります！！ (2019年3月10日 16時) (レス) id: 8a7216d57f (このIDを非表示/違反報告)
イツカ(プロフ) - 柊先生がいいです！更新頑張ってください！ (2019年3月10日 16時) (レス) id: b93db8aef6 (このIDを非表示/違反報告)
ミア(プロフ) - 美桜さん» コメントありがとうございます！真壁くんイケメンですよねまじ惚れます笑 (2019年3月9日 21時) (レス) id: 8a7216d57f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ミア | 作成日時：2019年1月7日 0時
