検索窓
今日:1 hit、昨日:0 hit、合計:142,790 hit

101話 辛さ ページ17

自分に出せる限りのスピードで、鬼に切りかかる



『無一郎君に...なにしてるの?』


"水の呼吸 壱の型 水面切り"



無一郎君の方にのばしきった髪は、背後にいる私に向けることは不可能

私は、無防備である鬼の首に刀を当て、鬼の首を落とすことに成功した



『無一郎君!大丈夫!?』

「なん、で...君、逃げたはすじゃ...?」

『言ったでしょ、仲間を置いていくなんてできないって

  全速力で走って帰ってきたんだよ?疲れちゃった』



すぐさま無一郎君に駆け寄ると、目を見開いて問いかけられる


そう、私はあのとき逃げたのではなかった

一度館の外に出て、もう一度中に戻ってきたのだ


とりあえず無一郎君の傷を治そうか、傷は浅そうだが出血が多い

そう思い、無一郎君のお腹に手をのばす




「なに、する気?」

『傷、治そうかと思って...ほら、横になって?』

「...........やだ」



体を倒そうとすると、プイと横を向いて体を押される

なんで?何をするのかわからないからか?それとも、私はまだ信用されていないのだろうか



「良いよ、もう...僕疲れたから、ここで死ぬよ

  どうせ、僕が死んでも悲しむ人なんていないし」

『無一郎君?なに言って...「僕、覚えられないから」...何を?』

「全部。大切な人も嫌いなことも、全部忘れちゃう

  だから、大切な人なんて存在しないし大切に思ってくれる人もいない」



突然話始めた無一郎君に戸惑うも、とりあえず黙って聞いてみる

その話をしているときの無一郎君の目は、とても、悲しそうな目をしていた


何を思っても、忘れてしまう

何があっても、一人という考えを拭えない


そんな感覚がいつも胸の中にあるというのは、どれだけ恐ろしいことだろうか

何かを覚えておくことができないというのは、どれだけ辛いことだろうか


そっと包み込むように抱き締めると、無一郎君は体を強ばらせた



「........もう、ほっといてよ」

『そんな泣きそうな声でほっとけって言われても、ほっとけないよ

  無一郎君、辛かったね、寂しかったね

  無一郎君は一人じゃない、私がいるから』



ゆっくりと頭を撫でてやると、震える手で私の羽織を掴んだ

腕の中にある体は、年相応の大きさで

先程まで鬼と対峙していた人間とは全く別人のように思えた







ーーーーーーーキリトリ線ーーーーーーー
前の話で100話だったのに字数がギリギリで何も書けなかった...

祝100話!!おめでとう私!!

102話 幸せな時間→←100話 隊士(無一郎side )



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.9/10 (86 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
181人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

セブンス・エイカン(プロフ) - 勿忘草さん» ぬあっ本当ですねバカなことやってる.....すみません.....ただ、実はこれ今の私のアカウントではなく、前のアカウントで書いてたんです。なので、パスワードで開けなくて......本当に申し訳ない、直すことができないんです!すみません、ご指摘ありがとうございました。 (2020年7月26日 21時) (レス) id: b773bec88c (このIDを非表示/違反報告)
勿忘草 - 87話で鋼に「念を帯びている」とありますが、オーラではないのですか? (2020年7月26日 13時) (レス) id: a69079c5f6 (このIDを非表示/違反報告)
セブンス・エイカン(プロフ) - 時雨羅さん» 童磨!こう書くんですね......衝動的に書きすぎて名前の漢字すら調べてないとか言うね......一つでも!教えてくれてありがとうございます!とても嬉しいです! (2020年5月9日 20時) (レス) id: b773bec88c (このIDを非表示/違反報告)
時雨羅 - お話とっても面白いです。あと童磨はこう書きます。一つしかわからなくて申し訳ございませんがとりあえず載せます。これからも頑張ってください! (2020年5月9日 13時) (レス) id: 3904cc9db9 (このIDを非表示/違反報告)
セブンス・エイカン(プロフ) - マリアさん» いえいえそんな、、、神だなんて、、、あります((申し訳ございませんでしたァ!! (2019年12月16日 7時) (レス) id: c11c2be27e (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:セブンス・エイカン | 作成日時:2019年11月11日 13時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。