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51話 兄貴 ページ9

『我妻君!!避けて!』

「っ!?あ...うぅ」



私の声に意味はなく、我妻君のすぐ手前まで鬼が移動してきている

我妻君は一瞬目を開いてからうでの中にいる翔大君を庇うようにうずくまった


ダメだ、これじゃ間に合わない...!


最後の抵抗で、私は短刀を鬼に向かって投げつける

しかしその短刀が鬼に刺さる前に____


雷が鳴り、鬼の首が落ちた



「っ、え、兄貴...?」

「チッ、お前は買い物もろくにできないのかグズが

  先生が心配してる、さっさと立てアホ」



雷の後に立っていたのは、一人の男の子

年は私より少し上ぐらいだろうか


その人は、我妻君と知り合いらしく親しげ(?)に話をしていた



「わ、ごめん兄貴...でも、その、この子のお母さんがまだ見つからなくて」

『あ、我妻君!もういいから!君は帰って!』

「嫌だよ!ここまでやったのにそんな無責任なことはしたくないし...」



二人に駆け寄って翔大君を私のうでに移動させる

話に割り込んでしまったが、この話の元が翔大君なので、致し方ないだろう

しかし、私も我妻君も一歩も引かず、話は終わりそうになかった



「翔大!何処にいるの!?こっちなの!?って...しょ、翔大!!」



そのとき、観衆が避難した方向から女性が走ってきた

女性は翔大君を見るなり座り込んでしまい、その表情からは安堵の感情が読み取れる



『え、っと?もしかして、貴方は...翔大君のお母さん?』

「はい、はい!そうなんです!翔大が急にいなくなってしまって...

  町を出たのかと思って近くの山も走り回ったのに見つからなくて...!」



ボロボロと涙をこぼし始めた女性の背中をさすり、翔大君を渡す



「ち、小さな男の子を連れた金髪の人がいると聞いて...

  本当に良かった...!お二方、翔大を守ってくださり本当にありがとうございます」



何度も何度も頭を下げる女性に、なぜだか胸が痛くなった



「え、そんな、俺はほとんど何もしてないです

  Aちゃんのお手伝いをしてただけで...でも、お母さんが見つかって良かったなぁ」

『ちょっと、我妻君...お礼を言われるようなことはしていません

  あの、だからどうか頭をあげてください』



女性に二人で声をかける

その間、先程の男の子は何も言わずにただ私たちを見ていて、なんとなく気まずい


ちらりと見ると目があって、反らされてしまった


あの子はいったい誰なのだろうか

52話 お礼→←50話 捨て身



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セブンス・エイカン(プロフ) - 霧雨魔梨乃さん» 天才だなんてそんなこと...ありまs((失礼しました(土下座)、ありがとうございまぁぁぁぁぁぁす!!! (2019年10月31日 22時) (レス) id: c11c2be27e (このIDを非表示/違反報告)
霧雨魔梨乃 - マジでやばい!天才だわぁ。物語作ってけれてありがとう(TOT) (2019年10月31日 21時) (レス) id: 0e4689ecab (このIDを非表示/違反報告)
セブンス・エイカン(プロフ) - booksさん» 真菰ちゃん可愛いよねぇーーーー!死んでほしくなかったぁぁぁぁ...手鬼許すまじ(怒) (2019年10月31日 7時) (レス) id: c11c2be27e (このIDを非表示/違反報告)
books - 真菰ちゃん…ま″こ″も″ぢゃぁぁん!尊いよぉぉぉーー! (2019年10月30日 23時) (レス) id: e463963ad8 (このIDを非表示/違反報告)
セブンス・エイカン(プロフ) - ムーンさん» オッケーです!思いの外生存ルート人気ですね!私も映画は見に行く予定ですが映画館が大洪水になることでしょう... (2019年10月28日 7時) (レス) id: c11c2be27e (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:セブンス・エイカン | 作成日時:2019年10月4日 20時

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